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遺産分割

遺産分割協議書は必要?目的~作成の流れ・注意点を解説

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通夜や葬式が終わった後は相続手続きを行う必要があります。相続税の納税義務者にとって、相続手続きをする上での最終的なゴールは相続税の申告と納税です。

しかし申告と納税をする前に、相続人全員で遺産分割協議を行い「誰がどの遺産を受け継ぐのか」を話し合いし、遺産分割協議書にまとめる必要があります。書類にまとめることで、その後の相続人同士の争い防止や、申告までの手続きをスムーズに進めることができます。

そこで今回、遺産分割協議書について詳しく解説し、作成方法や注意点、流れなどを紹介します。
これから相続を控えている方はぜひ参考にしてください。

目次

遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、被相続人の遺産を相続人全員でどのように分け合うかをまとめた法的書類です。

遺産分割協議書は相続人同士で作成する書類であり、全員の同意が必要です。そのため書類には遺産の名義と相続人全員の署名捺印が不可欠です。

なお、現在ではインターネットで遺産分割協議書のテンプレートをダウンロードすることが可能です。

遺産分割協議書が必要な状況

 

では、遺産分割協議書はどのようなケースで必要になるのでしょうか。

ここでは実際の経験に基づく3つのケースを紹介します。

ケース①:法定相続分とは違う遺産分割を行う場合

実は相続分の割合については法律で定められています。しかし、法律とは異なった割合にしたいという相続人もいらっしゃるでしょう。

例えば法定相続人である子ども3人がいる場合、長男が多く遺産を相続したいときは、他の相続人である子ども2人の同意が必要となります。

上記の例で相続人は本来1/3ずつ遺産を相続することが法定相続割合となりますが、異なる割合で相続する際は遺産分割協議書にその旨を記載する必要があります。

ケース②:名義変更が必要となる遺産を相続した後

不動産や株式、自動車など、被相続人の名義であった財産は遺産分割協議後に、相続人へ名義変更しなければいけません。

名義変更をする際は、だれがどの遺産を相続するかを明記した遺産分割協議書が必要となります。

遺産分割協議書がなければ、遺産を相続する人を第三者へ証明することができず、名義変更ができない状態となります。

ケース③:金融機関口座の凍結を解消する時

相続が発生した後の被相続人の金融機関口座は、凍結されます。

口座の凍結を解消するためには、遺産分割協議書を作成し、金融機関に提出する必要があります。

遺産分割協議書が必要ない場合

被相続人が残した遺言書通りに遺産を承継する場合は、遺産分割協議書は不要です。ただし被相続人の遺産の全てに関する分割方法が記載されている場合のみです。

万が一遺言書に記載のない遺産がある場合は、遺産分割協議書の作成が必須となります。

遺産分割協議書作成時の注意点

遺産分割協議書を作成する際の注意点は2つあります。

  1. 遺産に関する詳細明記
  2. 専門家への相談

誰がどの遺産を受け継ぐかを詳しく明記しておらず、遺産分割協議書の内容を曖昧なまま作成すると、後々相続人同士でのトラブルにも繋がります。
そのため、遺産分割協議書の作成は専門家に依頼するのがおすすめです。

遺産分割協議書の作成には専門的な知識が求められるため、不動産の詳細を遺産分割協議書に記載する際には、登記簿謄本を確認しながら作成しなければいけません。

一般的に登記簿謄本は不動産に関わる仕事をしている方であれば内容を理解できますが、一般の方には難しい内容です。

インターネットなどで調べて、遺産分割協議書を作成することはできるかもしれませんが、誤った知識で内容を記載してしまうと、後々トラブルにも繋がります。

そのため、弁護士などの専門家に相談しながら作成するようにしましょう。

遺産分割協議書を作成するまでの流れ

相続税の納税義務者は遺産分割協議書を相続が発生してから10か月以内に作成します。

しかし、納税と申告も10か月以内と法律で定められているため、実際はそれより早く作成しなければいけません。

そのため、納税と申告を期日までに完了させるためにも、遺産分割協議書を作成する流れを理解しておきましょう。

①:被相続人が死亡(相続開始)

相続が開始した日(死亡を確認した日)から1週間以内に死亡届を行政機関に提出します。

その後遺言書の確認や、相続の限定承認や相続放棄をする方の確認も行います。その際、相続人確定のための戸籍謄本を取得する必要があります。

相続の限定承認や相続放棄をする場合は、原則として相続が開始した日から3か月以内に行わなければいけません。

②:相続人確定のために戸籍謄本を取得する

相続人を確定するため、被相続人の出生から亡くなった日までの戸籍謄本を取得しましょう。

戸籍謄本を取得し、相続人の確定を行います。万が一、隠し子などが発覚した際は、その人も相続人となります。

被相続人の戸籍謄本は、本籍地の役所で取得可能です。

③:遺産内容を調査・把握

相続人が確定した後は、被相続人の遺産総額の調査を行います。これを「財産調査」といいます。財産調査は相続人が行い、以下の6項目について調査します。

財産調査内容 調査方法
預貯金 キャッシュカードや通帳を確認し金融機関に問い合わせ
不動産 登記簿謄本・固定資産税納税通知書などで確認
生命保険 生命保険会社へ問い合わせ
株式、投資信託、有価証券 証券会社や信託銀行へ問い合わせ
借金などの債務 返済予定表などを確認し借入先の金融機関に問合せ
貴金属や自動車、ゴルフ会員権など 現物の確認とゴルフ場へ問い合わせ

すべての財産が明らかになった際は、「財産目録」などを作成し、わかりやすい状態にしておきましょう。

また、遺産分割協議書には被相続人の負債も記載します。一見負債はマイナスなイメージですが、相続税の納税額を圧縮できる効果が見込めるため、必ず財産調査で確認しておくことをおすすめします。

④:遺産分割協議

財産調査により、遺産の種類と詳細が判明した後は、遺産分割協議を行います。

遺産分割協議と聞くと難しいイメージを持たれるかもしれませんが、家族会議のようなものです。誰がどの遺産を受け継ぐか、相続人全員で話し合いを行いましょう。

この際、相続人同士で話し合いがまとまらない場合は弁護士などに仲介に入ってもらい、話し合いを進めるようにしましょう。

10か月内に相続税の申告と納税をしなければいけないため、遺産分割協議は財産調査が完了した後、すぐに行うことをおすすめします。

⑤:遺産分割協議書の作成

相続人同士での話し合いがまとまった後は、遺産分割協議書として書類にまとめます。

遺産分割協議書には、誰がどの遺産を相続するかを記載し、相続人全員が署名捺印をします。

現在ではインターネットで遺産分割協議書のひな型をダウンロードすることができます。

しかし、専門的な知識がないと記載するのは難しいため、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺産分割協議書が必要な手続きと提出先

遺産分割協議書は相続税の申告と納税のためだけではなく、他にも用途があります。

ここでは4つの用途について紹介します。

1. 金融機関の預貯金口座凍結の解消

被相続人の口座は、亡くなったタイミングで凍結されます。凍結しないと、相続人が勝手に出金する可能性があるからです。凍結した口座を解消するには、遺産分割協議書が必要となることがあります。

2. 証券会社の株式の名義変更

保有している株式の名義変更を行う際も、遺産分割協議書を証券会社に提出します。

証券会社に株式の相続先を確認してもらう必要となることがあるからです。

3. 不動産の所有権の変更

不動産の所有権移転登記を行う際に、遺言がなく、法定相続分とは異なる割合で不動産を取得する場合は遺産分割協議書がなければ登記できません。誰が相続したかを証明しないと法務局では受け付けてくれないためです。

なお、不動産の所有権の変更を行う際は司法書士に依頼することが一般的には多いです。

4. 自動車の名義変更

自動車の名義変更をする際は遺産分割協議書が必要です。ただし、査定額100万円を超える自動車のみが該当します。

100万円以下の自動車や軽自動車の名義変更の場合、遺産分割協議書は不要です。

まとめ

これまで遺産分割協議書の内容と作成方法、注意点などを紹介してきました。

遺産分割協議書は相続人同士が遺産の分割方法と割合について同意したということです。

遺産分割協議書を作成することで、スムーズに相続することができ、相続人同士のトラブルを防ぐことにもつながります。

しかし、相続税の納税は10か月以内と定められているため、相続発生後はすぐに、遺産分割協議書の作成手続きを行わなければいけません。

専門的な知識が求められる書類であるため、ぜひまずは当社のような相続専門の相談窓口へご相談ください。

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