メールで相談する 0120-243-032

相続コラム

遺産分割

相続権を失う「相続欠格」とは?相続廃除との違い・注意点を解説

#

相続人には遺留分という権利があるため、最低限の遺産を相続できます。しかし、その資格を失い相続欠格者となった相続人は遺産を継承できないだけでなく、遺産分割の協議にも参加できなくなります。

相続欠格者は法律によって遺産を相続する権利を当然に喪失するため、「自分も該当しているかも」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は相続欠格に焦点を当てて、相続欠格の内容を具体的に解説します。最後には注意点も解説するため参考にしてください。

目次

相続人には遺留分という権利があるため、最低限の遺産を相続できます。

しかし、その資格を失い相続欠格者となった相続人は遺産を継承できないだけでなく、遺産分割の協議にも参加できなくなります。

相続欠格者は法律によって遺産を相続する権利を当然に喪失するため、「自分も該当しているかも」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は相続欠格に焦点を当てて、相続欠格の内容を具体的に解説します。最後には注意点も解説するため参考にしてください。

相続欠格とは

相続欠格とは法定相続人の方が相続する資格を失うことを指します。

相続開始後は、被相続人(亡くなった方)の遺産を遺言書に基づいて承継します。

遺言書がない場合、相続人同士で話し合いを行い、分割するのが一般的です。

しかし、相続欠格となった相続人は遺産分割する権利もなければ、話し合いに参加する権利もありません。

つまり、相続に関するすべての権利を失うことにもなります。

相続欠格者に財産を残すことはできない

相続欠格者に財産を残すことはできません。

遺産分割時に相続欠格者が他の相続人と揉めないために、ある程度の遺産を相続させたい方もいらっしゃるでしょう。

しかし、どんな理由があろうと相続欠格者には相続する権利はありません。

被相続人が相続人に遺産を渡したい場合は、生前贈与や生命保険金の受取相手を設定する方法しかないでしょう。

相続欠格になる5つの事由

相続欠格になる事由は5つ挙げられます。

  • 被相続人の殺害及び、自分より優先順位が高い相続人を殺害した場合
  • 被相続人が殺害されたことを知りながら告発しなかったもの
  • 詐欺や強迫によって、被相続人による遺言行為(作成・撤回・取消・変更)を妨げたもの
  • 詐欺や強迫により、被相続人に遺言行為(作成・撤回・取消・変更)をさせたもの
  • 遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿したもの

以下で詳しく解説します。

被相続人の殺害及び、自分より優先順位が高い相続人を殺害した場合

[民法 第891条] 民法第891条 -e-Gov

次に掲げる者は、相続人となることができない。

一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

例えば推定相続人が配偶者と子供など、自身より優先順位が高い人を、遺産目的に殺害した場合は相続欠格者となります。

もちろん被相続人の殺害も同様ですが、例え殺人未遂であっても刑事裁判で有罪判決を受けた場合は相続する権利を失います。

しかし、刑事事件で無罪となった場合は、相続欠格にはなりません。

被相続人が殺害されたことを知りながら告発しなかったもの

[民法 第891条] 民法第891条 – e-Gov

二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。

被相続人が殺害されたのを知っていたのにも関わらず、告発しなかった場合は、相続欠格者となります。

ただし、殺害者が以下の相続人である場合は例外となります。

  • 相続人の配偶者
  • 相続人の親や祖父母などの直系尊属
  • 相続人の子供や孫(直系卑属)

詐欺や強迫によって、被相続人による遺言行為(作成・撤回・取消・変更)を妨げたもの

[民法 第891条] 民法第891条 – e-Gov

三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

自筆の遺言書を作成しようとする場合や一度作成した遺言書を変更したい場合に、それらを妨げた者は、相続欠格に該当します。

詐欺や強迫により、被相続人に遺言行為(作成・撤回・取消・変更)をさせたもの

[民法 第891条] 民法第891条 – e-Gov

四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

相続人の都合に合わせた遺言書を作成させるケースも考えられます。

先ほどの事例と異なる点は、相続人の都合に合わせた遺言書を作成させた場合、妨害ではなく、強要となり相続欠格に該当します。

遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿したもの

[民法 第891条] 民法第891条 – e-Gov

五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

被相続人の許可なく相続人が遺言書を偽造した場合は相続欠格者となります。

近年では法務局で遺言書を保管してくれるシステムができたため、偽造は少なくなりましたが、被相続人が保管している場合は十分注意が必要です。

相続欠格と相続廃除の違い

相続欠格と相続廃除は内容が似ているため混同してしまう方もいらっしゃいます。

ここでは相続廃除の内容を紹介します。

相続廃除とは

相続廃除とは、相続欠格のように殺害まではいかなくとも、被相続人に対し、嫌がらせや虐待などを行っていた場合は推定相続人の廃除となり、相続の権利を失うことです。

相続欠格との違いは、相続廃除は被相続人が生前時に裁判所へ申し立てを行い、相続権が喪失される点です。

また相続欠格の取り消しは、専門家によって意見が異なるほど複雑ですが、相続廃除は被相続人が申し出れば取り消し可能です。

つまり、被相続人の意思で相続人の相続権をはく奪でき、かつ撤回も可能となるのが相続廃除です。

相続廃除も相続欠格と同じで財産を受け取れない?

相続廃除の対象者は相続欠格者同様、財産を受けとることはできないのかと疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

相続廃除は相続権を失うため、遺産相続はできません。

相続欠格者の行為と類似しており、被相続人に迷惑をかけていることになります。

被相続人も生前時に相続廃除をする場合、相続人に対し相当な理由があるためでしょう。

つまり、相続廃除された方は財産を受け取れないと認識しておくべきです。

相続欠格者がいる場合の証明方法

相続欠格者になった方は、戸籍などに記載されないため、証明書を作成する必要があります。

例えば相続欠格者がなぜ遺産分割協議書から抜けているのか不明となり、適切な協議が行われたと判断されず、不動産登記の受付ができなくなる場合あります。

遺産分割協議ができなければ、相続人同士で遺産の分け合うこともできず、遺産分割協議書の作成に相続欠格者の証明書が必要です

証明書の作成方法

相続欠格の証明書としては下記の3つが挙げられます。

  • 相続欠格者が作成し、欠格事由が存する旨が記載された証明書
  • 民法第891条各号の一に該当する刑事裁判がされている場合の裁判所の謄本
  • 当該欠格者の相続権不存在を確認する判決の謄本

相続欠格の証明書は相続欠格者の印鑑証明書が必要なケースや、殺害などを行った相続欠格者である場合は、裁判所の謄本が必要となります。

相続欠格の証明書は複雑であるため、専門家などへ相談して作成することをおすすめします。

相続欠格の注意点

遺産分割協議時に相続欠格が発覚した場合、遺産分割協議は一からやり直しになります。

相続欠格者は相続権を失うため、遺産分割協議が進んでいたとしても財産を受け取ることができません。

再度残りの相続人で相続欠格者分の遺産を協議し直し、遺産分割協議書を作成する手間がかかります。

しかし、相続欠格者に子供がいる場合は、子供が代襲相続人となり、財産を相続できる権利を持ちます。

そのため、再度遺産分割協議を行う場合は、相続欠格者に子供がいないか確認もしましょう。

まとめ:相続欠格の確認はお早めに

今回相続欠格について解説してきました。

相続欠格に該当する事由は多くないものの、取り返しのつかないことを被相続人に対し行った場合は相続欠格者となり、相続権を失います。

また、被相続人の生前時に嫌がらせや虐待を行った場合は相続廃除となり、同様に相続権を失います。

被相続人に対し酷く嫌な行為を行うと、相続権利を喪失することでもあると理解しておきましょう。

相続コラムTOP