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相続コラム

家族信託

家族信託で後悔する理由とデメリット|必要性とメリットまで解説

受贈者が認知症などの高度障害になった際は、資産の運用に制限が設けられます。不動産の売却や現金の引き出し、相続税対策ができなくなるため、さまざまなトラブル発生につながります。

その悩みを解決してくれるのが家族信託です。家族信託は委託者の財産を受託者が運用・管理・処分できる信託方法の1つです。そのため認知症になる前に家族信託を利用する方が増えてきました。

しかし必ず行うべきとはいいがたい失敗事例も多くあり、メリットを理解しないまま家族信託を使用して後悔したという意見もあります。

本記事では家族信託が必要ないとされる3つの基準と後悔する5つの理由を紹介します。またメリット・デメリットも解説するため、家族信託について検討中の方はぜひ参考にしてください。

目次

家族信託が必要ないと判断する基準

認知症であれば誰でも家族信託をしたほうが良いとは言い切れません。ここでは家族信託が必要ないと判断できる3つのケースについて紹介します。

生前贈与等で財産が相続しているケース

生前贈与で贈与者(委託者)がすでに自身の財産をすべて受贈者(受益者)へ贈与している場合、家族信託は必要ありません。家族信託は委託者の財産を受託者が管理し、受益者に財産を継承することです。

すでに財産継承が完了している場合、家族信託は不要です。ただし贈与は年間110万円以上の財産を贈与すると10%〜55%の税金が課せられます。

そのため多くの方が110万円未満の財産を贈与する場合に生前贈与は用いられます。自宅などの不動産は資産価値が高く、生前贈与には不向きであるため、財産継承が完了している方は少ないのが実状です。

資産をほとんど保有していないケース

管理・運用する資産がないのであれば家族信託する必要はありません。ここでの資産には以下の項目が該当します。

  • 現金
  • 預貯金
  • 不動産
  • 有価証券
  • 債権
  • 絵画・骨董品
  • 自動車・バイク・船舶
  • ゴルフ会員権・リゾート会員権 など

上記の項目の資産をたくさん保有している方は家族信託を利用したほうが良いとされていますが、資産家ではない方は資産に関するトラブルも少ないため必要性は低いです。

家族信託をするためには数十万円から数百万円の費用が必要となるため、0円で作成できる遺言書を選択する方も多くいらっしゃいます。

経済的に問題なく生活できるケース

委託者の収入によって配偶者や子どもの生活が成り立っている場合、家族信託を利用したほうが良いとされます。家族信託は受託者が委託者にかわって資産を管理・運用していくことです。

受託者がいなければ不動産などの資産を運用することができず、場合によっては収入が減ることもあるでしょう。

その収入で配偶者や子どもを養っている場合は家族信託を利用し、収入確保しなければいけません。しかし配偶者たちにも収入源があり、経済的に生活できるケースであれば家族信託は必要ないかもしれません。

家族信託をしなくて後悔する理由

家族信託をしないまま親などが認知症になると資産の運用ができなくなり後悔をしたという方も多くいらっしゃいます。では具体的に後悔したという事例はどのようなことが挙げられるのでしょうか。

ここでは3つの代表例を紹介します。

親名義の不動産を処分できない

不動産の名義人である親などが認知症になった場合は、不動産の処分ができなくなります。不動産を売却する場合、名義人の意志で署名捺印しなければいけません。

もちろん売却だけでなく建替えなども同様です。認知症の方は法律上判断能力がないと見なされるため、法律行為が行えなくなります。もちろん認知症の程度にもよるため一概には言えません。

「親が認知症であれば子どもが代理できるはず」と思っている方も多いです。たとえ子どもであっても認知症の親の名義である不動産は売却できず、相続が発生して不動産を継承するまで運用できなくなります。

親の財産から介護への支払いができない

親の介護費用を親の預金口座から支払いたくても、認知症になった際は口座凍結させられるため、支払うことができません。認知症の口座をそのままにすると、子どもが勝手に引き落として使われる可能性があるためです。

そのため、認知症となった人の介護費用は面倒を見ている子どもが支払う必要があります。そこで家族信託していれば、親の口座を使用できるために上記の悩みは解決できます。

親が世話をできなくなったペットにかかるお金が使えない

認知症になった親でもペットを飼育している方はたくさんいます。この際問題になるのは、エサをあげたか覚えてないという事例です。エサをあげないままにするともちろんペットも生きていけません。エサもお金を下ろして購入しますが、親の口座は凍結されますので、ペットの生活を保護するためにも認知症になった際は注意が必要です。

【関連記事】家族関係が悪化?相続トラブルの要因と対処法 

家族信託を適切に手続きできず後悔する理由

家族信託の内容を理解しないまま適切に手続きができず後悔したという事例もあります。ここでは2つの事例を紹介します。

想定外の税金が発生した

家族信託は委託者から受託者へ財産に一任管理を依頼するため、贈与税が課せられませんが、受益者に対しては無償で財産贈与した場合は贈与税が課せられます。

例えば、委託者が親、受託者が長男、受益者が長男や次男とした場合は、長男、次男には贈与税がかかります。このケースでは、受託者である長男は受託者としては贈与税がかからなくても、受益者としては贈与税の課税対象となるため注意が必要です。

また、信託が終了した際の、不動産取得税にも注意が必要です。不動産取得税は不動産を取得した際に課せられる税金です。家族信託では不動産取得税は課せられないものの、以下の条件をクリアしている必要があります。

  • 委託者=受益者の形が信託期間中継続していること
  • 財産を取得する人が、委託者の相続人であること
  • 財産を取得する人が、受益者であること

上記の内容を踏まえ、家族信託の契約書を正しく作成しなければいけません。間違えた契約書を作成すると想定外の税金が課せられるため注意して下さい。

自分でやると信託契約書が無効となった

家族信託の契約書はインターネット上でひな形もあるため自身で作成することも可能です。ただし複雑な内容であるため、間違えないように注意しなければいけません。

間違えた契約書を作成すると無効となります。家族信託は弁護士や司法書士であっても複雑すぎて取扱わない弁護士・司法書士もいるほどです。

そのため家族信託について理解している専門家へ相談するようにしましょう。

家族信託で後悔する前に知りたいデメリット

家族信託は財産を信頼できる方に運用を任せることができる万能な仕組みであるだけでなく、デメリットもあります。ここでは4つのデメリットについて解説します。

受託者に権限が集中する

家族信託は子が受託者となるケースが多いです。受託者は委託者から依頼を受けて財産の管理運用を行うことができる権限を持ちます。

受託者は受益者に対し、財産の利益を分け与えるのですが、家族信託の認知度は低く、自身が全て財産を継承したと勘違いする受託者や受託者に全部の財産を取られたと勘違いされる受益者も多いです。

その結果受託者と受益者でトラブルに発展することも多くあります。

損益通算を利用できない

家族信託を利用した場合、赤字所得である不動産の損益通算ができなくなります。損益通算とは不動産の所得が赤字である場合、他の黒字所得と赤字分を合算して申告できる方法であり、所得税と住民税の節税につながります。

しかし家族信託を利用した委託者の財産から生じた損失は不動産所得としてなかったものと見なされます。そのため節税対策として不動産投資を始めたものの、損益通算できないがゆえに節税効果が見込めなかったという事例もあるため注意が必要です。

信託できる財産が制限される

家族信託では信託できる財産に制限があります。例えば以下のような財産は信託できません。

  • 債務・連帯保証人などの負の財産
  • 生活保護受給権・年金受給権
  • その他身体、名誉、生命などの金銭価値に置き換えることができないもの

 

家族信託に初期費用がかかる

家族信託は専門的な知識が求められるため、弁護士などに公正証書のひな型を作成してもらい確認してもらう必要があります。そのため弁護士への費用が発生します。

費用としては委託者の財産の10%〜20%が相場となります。しかし家族信託に関しての知識が乏しい弁護士もいるため、費用が無駄にならないようにまずは無料相談を訪ねるとよいでしょう。

【関連記事】相続に関する依頼をするなら司法書士がおすすめな理由やメリットを挙げて解説。

家族信託のメリット

家族信託をしなくて後悔した事例を紹介してきましたが、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは4つのメリットを紹介します。

親の財産を管理しやすくなる

認知度となった親の財産は運用できなくなるものが多いです。特に預貯金は口座凍結させられるため、日常生活に支障をきたす可能性もあります。

しかし家族信託しておけば受託者が委任者の財産を運用できるようになります。

死後の財産の承継先を遺言として残せる

家族信託は誰にどの財産を継承させるかの遺言効果も含まれていますが、次の後継者とその次の後継者まで決めることが可能です。本来遺言書は次の相続人までとなりますが、家族信託であれば二次相続に備えた財産継承者も決めることもできます。

受託者を変更できる

家族信託は委託者によって受託者が変更できます。家族信託で受託者を選んだものの、不適切な方だと判断した場合、別の方を選任することが可能です。ただし公正証書にその旨を記載しておく必要があるため注意して下さい。

遺産分割協議が必要なくなる

家族信託を結んでいれば「遺産分割協議」を行わずに財産継承できます。遺産分割協議とは相続が発生した際に、相続人同士で財産の分割方法と割合を話し合うことです。

遺産分割協議が完了した後はその内容を遺産分割協議書にまとめ、口座凍結の解消や不動産の名義変更が可能となります。ただし財産にかかわることであるため、相続人同士で財産争いをするケースも多いです。

しかし家族信託を結んでいれば委託者から財産の分け方について公正証書に明記されているため、その通りに財産を分割するだけとなり、相続人同士のトラブルを避けることにつながります。

遺産分割協議を行う手間がなくなるだけでなく、相続人同士の争い防止効果も見込めます。

まとめ:後悔しないように!家族信託で上手な相続を

今回は家族信託が必要ないとされる3つの基準と後悔する5つの理由を紹介してきました。家族信託は主に資産家の方が行うべき財産継承方法です。相続人同士のトラブルを避けられるだけでなく、委任者の意思を伝えることも可能です。

ただし損益通算ができず、想像以上の税金が課せられた方や初期費用が高いなどのデメリットも挙げられます。何も知らずに家族信託を結んでしまうと後々後悔することも多いです。

そのため家族信託を検討し始めた時は弁護士や司法書士などの専門家へ相談してみましょう。すぐに信託契約を利用するのではなく、現在の財産に対しどのようなメリットがあるかを教えてくれます。

専門的な知識が必要な家族信託であるからこそ、プロの意見を参考に検討するようにしましょう。

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