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家族信託

家族信託の際にかかる税金とは|種類や発生する仕組みを解説

認知症は65歳以上の高齢者の5人に1人が発症すると言われています。認知症は判断能力が低下することから、財産の管理や運用は難しいとされています。

もちろん認知症の程度によって異なるため一概には言えないものの、重度化することを想定しておくのであれば、何かしらの対策は必要となるでしょう。その方法の一つとして家族信託が挙げられます。

信託契約を結ぶことで、認知症の方に代わって財産管理を行うことが可能です。ただし税金の課税対象となるケースもあるため、あらかじめ理解しておくことが好ましいでしょう。

そこで今回、家族信託の概要とメリット・デメリット、課せられる税金について紹介します。高齢者の方や、高齢の父母の財産管理を円滑に行いたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

家族信託の仕組み

はじめに家族信託の仕組みについて紹介します。家族信託は「委託者」「受託者」「受益者」の3者で成り立ちます。

委託者 財産の管理を委託する人
受託者 財産の管理を行う人
受益者 財産から利益を得る人

財産を保有しており、将来、認知症になる可能性がある方が委託者となります。その財産を管理する人を受託者、財産の運用から利益を得る人が受益者となります。なお、委託者でも受託者でも受益者になれます。

例えば委託者兼受益者である父親がアパート経営している場合、受託者を配偶者、または子どもなどに設定することもできます。

家族信託の税金の種類

では家族信託によって生じる税金にはどのような項目が挙げられるのでしょうか。ここでは「受益者」と「受託者」に分けて紹介します。

受益者が対象の税金

受益者に対して課せられる税金は下記の項目が挙げられます。

・贈与税

受益者は委託者から無償で財産を受けているため、贈与税の課税対象となります。例えば毎月のアパート経営から得られる収入などを受けた際などが該当します。

贈与税は年間110万円分の財産贈与であれば非課税ですが、110万円を超えれば税率を掛けて控除額を差し引いた金額を納税しなければいけません。ただし、委託者と受益者が同じ人であれば贈与税は発生しません。

父親が経営しているアパート収入を父親の口座に入れるケースなどです。贈与税は委託者(贈与者)が第三者へ無償で財産を譲渡した場合に課せられる税金です。

・相続税

受益者が法定相続人または、委託者の死亡によって生じる受益権が移行する受益者連続型信託である場合は相続税の課税対象です。ただし家族信託に関係なく、委託者の法定相続人であれば相続税の課税対象です。

もちろん相続権を放棄することも可能なため、必ず相続税が課せられるわけではありません。

・譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産などの財産を売却した際の利益に課せられる税金です。家族信託においても、信託受益権を他人に売却した際に利益が生じれば、

課税対象です。例えば長男が受益者であったものの、その権利を次男に売却した場合、利益が生じれば譲渡所得税が発生し、長男は納税しなければいけません。

・信託期間中の税金

委託者の財産から発生する収入を受益者が得た場合、所得税・住民税の課税対象となります。例えば毎月のアパート収入などが直接受益者の口座に収入が入る場合に該当します。

アパート収入の口座名義が受益者となっている場合と認識しておきましょう。

受託者が対象の税金

受益者に課せられる税金について紹介しましたが、受託者にも課せられる税金があります。ここでは2つ紹介します。

・登録免許税

家族信託は委託者から受託者に不動産の管理・運用を委託するため、信託を原因とする所有権移転及び信託の登記を行う必要があります。ただし、根本的な所有権は委託者のままであり、形式的な名義変更と認識しておきましょう。

とはいえ、登記をする際は登録免許税が課税されます。登録免許税は所有権移転登記に対しては課せられませんが、土地と建物の信託分に対しては、土地については「固定資産税の0.3%」、建物については「固定資産税の0.4%」を納税しなければいけません。

・固定資産税

固定資産税は1月1日時点で不動産を所有している方に課せられる税金です。例えば2022年2月1日に家族信託の登記が完了した場合、2022年に納税する固定資産税は委託者が支払います。

しかし2023年度は受託者が支払う必要があります。登記上は受託者が名義人となるため、納税通知書は受託者に送られてきます。

【関連記事】家族信託は銀行で口座を開設する?|手続きや選び方を解説

家族信託のメリット

ここでは家族信託のメリットを3つ紹介します。

成年後見人より費用が安い

家族信託は一般的に委託者である親が受託者である子に頼むケースが多いです。家族間で費用が発生することはほとんどありません。

一方、成年後見人は司法書士や弁護士が家庭裁判所により選任されるケースであれば、毎月数万円の費用が発生します。そのため家族信託は成年後見人より費用が安いというメリットがあります。

共有名義の不動産によるトラブルが少ない

不動産の名義人を複数人で持分を共有している場合、売却や管理は名義人全員の同意が必要です。

そのため不動産の自由度は低くなり、場合によってはトラブルにもなりかねません。しかし家族信託は受託者1人の権限で管理・運用ができるため、揉めるケースが少なくなるメリットがあります。

手間が少なく、柔軟な財産管理ができる

後見人制度では毎年家庭裁判所への報告義務が発生します。「財産は減っていないか」「収入は衰えていないか」などを説明する収支報告の提出が義務となっています。

しかし家族信託であれば報告はおろか、書類を提出する義務もありません。そのため手間が少なく柔軟に財産を管理することが可能です。

遺言書より効力が強い

遺言書は相続人によって破棄・捏造・変造される可能性もありますが、家族信託は法務局で登記するため、より信頼性は高いです。遺言書を見つけた相続人が、自分にとって不利益な内容であったため、書き換えたという事例もあります。

もちろんそのような遺言書は効力がありません。さらに遺言内容は相続人全員が同意すれば無視しても問題ありません。家族信託であれば相続人の同意に左右されることはなく、承継する人を決められます。

【関連記事】家族信託で後悔する理由とデメリット|必要性とメリットまで解説

家族信託のデメリット

一方、家族信託にもデメリットがあります。ここでは4つ紹介します。

契約に長期間拘束される

家族信託での財産は委託者が亡くなった後も効力を発揮します。例えば、自宅は絶対に売却しないでほしいと伝えていると、受託者は金銭に困った際も売却できなくなることがあります。

もちろん信託内容によって異なりますが、長期間拘束される可能性も高いため注意が必要です。

信託不動産から出た損失を他の所得と合算できない

不動産の所得が赤字の場合、他の所得と合算して申告できる「損益通算」が可能ですが信託不動産はできません。例えば不動産の所得がマイナス200万円と仮定し、サラリーマンの所得が400万円の場合、「400万円-200万円=200万円」に対して所得税と住民税が課せられます。

不動産は経費計上できる項目も多く、節税対策にもつながります。しかし信託不動産は損益通算できないため、所得税・住民税の節税効果は一切ありません。

遺言に比べて手間がかかる

家族信託は委託者と受託者の合意が必要です。受託者が見つからなければ家族信託を結ぶことはできません。しかし遺言書であれば、遺言者1人の意思で財産相続を決めることが可能です。

相続人の同意により遺言通りの相続にならない可能性もありますが、手間などを考慮すると遺言書のほうが楽に作成できます。

受託者の選任で揉める可能性もある

例えば受託者を長男にすると、次男などの他の家族にとっては「長男に多く財産がいくのでは」と疑問に思う方もいらっしゃいます。

その結果、誰を受託者にするのかで揉めるケースも多いです。さらに受託者の管理がずさんであると、他の家族から批判や不満があがり、トラブルに発生することも多いため注意が必要です。

まとめ:家族信託の税金で困る前に司法書士へ

今回、家族信託の概要と課税対象となる税金、メリット・デメリットを紹介しました。家族信託は、将来認知症になった際に財産の管理・運用を任せる人を決めておく手続きです。

そのため相続に比べて委託者の意思通りに財産を任せやすいです。しかし受託者と受益者には税金が課せられることが多いです。

そのためあらかじめどれくらいの税金がかかるのかを弁護士や司法書士、税理士などの専門家に相談しておくことをおすすめします。

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