相続登記
相続登記のオンライン申請とは|手順や注意点を徹底解説
不動産を相続した人は被相続人(亡くなった人)から名義変更登記しなければいけません。登記は司法書士に依頼する方が多いですが、費用も発生するため自身で手続きを行う方もいらっしゃいます。
しかし近年では新型コロナウイルスの影響もあるため、簡単に外出できない環境となりました。その際に利用できるのが相続登記のオンライン申請です。
名前の通り、家でネットを使えば登記申請できます。どのように手続きすればいいか分からない方も多いため、この記事で詳しく解説します。
またオンラインする際の注意点も紹介するため、これから相続登記を控えている人はぜひ参考にしてみてください。
目次
相続登記はオンライン申請できる?
相続登記は本来法務局の窓口で行う手続きでしたが、インターネットの普及により、オンライン申請ができるようになりました。そのため自宅で簡単に登記申請することが可能です。
仕事をしていて法務局に行く時間がない方にとっては便利な登記方法です。また相続登記は2024年4月1日より義務化されます。
今後ますます登記する方が増えることから法務局が混雑する可能性も高いでしょう。しかしあらかじめオンライン申請の方法を知っておけば、時間と労力を費やすことなく手続きすることが可能となります。
【事例】オンライン申請による相続登記の事例
<<オンライン申請で相続登記を行おうとしたが断念した事例はこちら>>
相続登記をオンラインで行うメリット
相続登記をオンラインで行うメリットには下記の項目が挙げられます。
法務局に行く必要がない
オンライン申請の最大のメリットは法務局に足を運ぶ必要がない点です。自宅のパソコン1台で申請できるため、移動と申請にかかる時間を短縮することが可能です。
地方に住んでいる方にとっては法務局まで行くのに時間がかかるということもあります。また普段仕事をしている人も、法務局に行く時間がないという方も多いです。
オンライン申請であれば自宅から自身のタイミングで手続きすることが可能となります。
申請受付時間が長い
法務局は平日8時30分から17時15分まで開いていますが、オンライン申請は21時まで手続き可能です(ただし、17時15分以降の申請受付は翌業務日対応)。
仕事終わりに法務局へ向かおうとしても時間が間に合わない等の可能性も高いですが、オンラインであれば家に帰って来てから申請することもできます。
書類の修正が簡単
法務局に書類を提出して修正があった場合、再度法務局に行かなければいけません。しかしオンライン申請であれば、書類不備があったとしても、簡単に修正することが可能です。
相続登記を行う方のほとんどが初めてであるため、何度か修正して申請されていることが多いです。しかしオンラインであればどこでも修正できるというメリットがあります。
パソコン1台でできる
相続登記は申請書や書類の提出の他に、登録免許税を納税した領収書や収入印紙を添付しなければいけません。しかしオンライン申請ではインターネットバンキングやモバイルバンキングで支払う電子納付が可能となります。
そのためパソコン1台あれば納税も可能となるメリットがあります。
相続登記のオンライン申請の注意点
相続登記をオンライン申請で行う際は、以下の3つに注意しましょう。
送付(持参)期間に注意
オンライン申請で相続登記を行う際、添付書類の提出は、申請の受付日から2日以内に法務局へ郵送または持参しなければいけません。
また登録免許税の納付は、申請受付日の翌日までと定められています。どちらも期限が過ぎてしまうと申請が認可されない可能性もあるため注意が必要です。
補正は期間内に行うこと
申請書は普段なじみのない地番や家屋番号を記載するため、修正する可能性が高いです。その際、法務局から「補正のお知らせ」通知が申請用総合ソフトを通じて届きます。
しかし通知に気が付かず、期限が過ぎてしまう可能性もあるでしょう。登記申請は軽微な修正であっても法務局の方では対応してくれません。
必ず申請人が修正する必要があります。そのため補正のお知らせは常にチェックしておかなければなりません。
間違いがあるとやり直しに
相続登記申請を間違えて申請する本来相続する予定だった人ではない人が所有権を得ることにもつながりかねません。途中で間違いに気が付いた際は、申請を一旦取り下げて、再度一からやり直す必要があります。
【関連記事】相続登記にかかる登録免許税とは|計算方法や納付方法はこちら
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相続登記のオンライン申請の手順
では実際どのようにオンライン申請を行うのかを紹介します。
事前準備
登記申請をオンラインで行う際は、下記の事前準備を完了させましょう。
ソフトのダウンロード
オンライン申請をする際は、行政が提供している「登記・供託オンライン申請システム」をダウンロードします(無料。Windowsのみ対応)。
ここから申請書の作成からデータ送付、電子署名などを行います。また民間事業者が作成した有料のソフトを利用することも可能です。
マイナンバーカード
電子証明書付きのマイナンバーカードを用意する必要があります。まだ発行していない方は申請して用意しましょう。
ICカードリーダー
ICカードリーダーは電子署名を行う際に必要です。インターネットで1,500円〜2,000円前後で購入することが可能です。
スキャナー
書類をPDFで送付するために必要となります。近年ではスマホで撮影し、PDF化することも可能です。相続人相関図をWordなどの文書作成ソフトで作成しPDFとして保存すれば、スキャナーは不要です。
事前必要書類
下記の必要書類を用意しましょう。
必要書類 | 取得場所 |
---|---|
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 被相続人の本籍地にある役所 |
被相続人の戸籍附票(又は住民票除票) | 被相続人の本籍地にある役所 |
相続人全員の戸籍謄本・住民票 | 相続人の本籍地にある役所 |
固定資産評価証明書 | 不動産所在地の本籍地にある役所 |
遺産分割協議書または検認済み遺言書 | 被相続人が所有している |
オンライン申請書の作成
申請書の作成を行う際は、専用ソフトを起動し、IDとパスワードを入力してログインします。
その後下記のステップで手続きを行うようにしましょう。
- 申請書作成の項目から「登記申請者・所有権の移転(相続)」を選択
- 登記申請書の画面にかわり、登記の目的と原因日付(被相続人の死亡日)を入力
- 相続人の「住所・氏名・電話番号」を入力
- 添付情報を入力(登記原因証明情報、住所証明情報、評価証明書)
- 申請年月日の入力
- 課税価格・登録免許税の入力
- 登記完了証の発行方法を選択する(登記所で交付・送付で交付・オンラインで交付)
- 相続する不動産情報を入力(オンライン物件検索・直接入力)
申請データの送信
相続人相関図の電子文書を「申請書のファイル添付」をクリックして準備します。その後電子署名を付与しましょう。付与すると「署名対象申請一覧」が画面に表示されるため、「ICカードで署名」を選択するようにしましょう。
この際、電子証明書が格納されているICカードをカードリーダーに差し込み、登記・供託オンライン申請システムに送付する流れとなります。
書類の郵送または持参
オンライン申請をし、受付日から2日以内に必要書類を法務局へ到着するように郵送します。もちろん持参でも問題ありません。
登録免許税は事前に納付している方は領収書、収入印紙で納付する方は、登録免許税分を登録免許税納付用紙に添付して送付します。
必要書類を返送してほしい方は、返送用封筒も同封しておきましょう。
まとめ:オンラインの相続登記で困ったら司法書士に相談を
今回は相続登記のオンライン申請のメリットと、申請方法、注意点を紹介しました。オンライン申請の最大のメリットは法務局へ足を運ぶ必要がない点です。
さらに21時まで申請可能なため、仕事が忙しくて法務局へいけない方には向いている申請方法です。とはいえ、初めての申請であるため、オンライン申請であっても分からない方も多いでしょう。
そのため、オンラインで手続きを進める際は、この記事を参考にしてみてください。申請方法に不安のある方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
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