相続登記
【事例付き】自分で相続登記は大変・・方法や費用・必要書類を解説
不動産を相続したあとは、名義変更手続きである相続登記を行わなければいけません。しかし専門性の高い知識が求められる手続きであることから、司法書士などの専門家に依頼する方も多いです。
とはいえ、報酬を支払わなければいけないため、自身でできないかと疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回、相続登記を自身で行う際の流れや注意点、メリット・デメリットを紹介します。これから不動産の相続を控えている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
自分で相続登記はできる?
相続登記は自身で行うことが可能ですが、実際は専門家に依頼しているケースがほとんどです。ではどのようなケースであれば自分で相続登記できるのでしょうか。
ここでは自分で行う場合と専門家に依頼する場合の違いについて紹介します。
自分でできる場合
下記の項目に該当している方は、相続登記を自身でできる可能性があります。
- 相続登記の経験がある方
- 不動産に関する知見がある方
- 根気強く手続きできる方
相続登記は知識が無ければ難しいです。もちろん登記申請をする法務局で教えてもらって手続きすることは可能ですが、専門用語も多いため、何を言っているか分からない方も多いです。
そのため相続に関する知識や不動産の知識がない方にとっては複雑で難しいでしょう。しかし司法書士に依頼すると費用が発生します。
またその費用は登記を申請する不動産の数が多くなるほど高額となります。そのため費用を抑えて登記したい方は、根気強く手続きを行う必要があります。
専門家に依頼した方が良い場合
専門家に相続登記を依頼したほうがよいのは、下記の項目に該当している場合です。
- 登記する土地や建物が多い場合
- 複雑な相続登記の場合
- 相続登記をする時間がない場合
- 書類の取得に手間がかかる場合
- 相続人が多数いる場合
- 不動産を相続する方が多数いる場合
登記する不動産の数が多い場合、専門家に依頼することをおすすめします。登記申請をする数が多くなるほど、申請書類や必要書類が増えてしまいます。
司法書士に委任することで、書類の準備も行ってくれます。そのため、相続登記をする時間のない方や、複数の相続人から書類を集める必要がある方は、司法書士に依頼したほうがよいでしょう。
自分で相続登記をするメリットとデメリット
では自身で相続登記を行うメリットとはどのようなことが挙げられるのでしょうか。
ここでは専門家に依頼しない場合のメリット・デメリットを紹介します。
メリット
相続登記を自身で行うメリットは下記の点が挙げられます。
費用を抑えることができる
自身で行う最大のメリットは費用面です。司法書士に相続登記を依頼する場合、数万円程度の費用が発生します。相続登記をする不動産の数や、司法書士によって費用は異なるため、見積依頼または相談してみないと費用が分かりません。
しかし自身で登記をすれば司法書士への費用を節約できます。
自分のスケジュールで行うことができる
相続登記を自身で行うことで、司法書士との連絡も不要となり、自身のタイミングで行うことが可能です。仕事をしている方は電話に出られるタイミングが限られるでしょう。しかし自身で行うことで、自分のスケジュールに合わせた登記申請が可能です。
二次相続の時にも役立つ
父親が亡くなった後に母親が亡くなったというような(二次相続)再度相続登記が必要となるケースがあります。一度自身で相続登記を行っておけば、二次相続時の登記もスムーズに行うことが可能となるでしょう。
デメリット
一方で自身で相続登記を行うデメリットは下記の項目が挙げられます。
途中で嫌になることがある
相続登記は専門性の高さから、手続きが途中で嫌になる方もいらっしゃいます。申請書の作成段階でわからなくなり、結果司法書士に依頼するケースも多いです。
時間と労力がかかる
相続登記を行う方は、初めての方が多いです。手続きの専門性から自身で行うと時間と労力を費やしてしまうデメリットがあります。
間違えてしまうと大きな税金が課せられることも
相続登記を間違えてしまうと贈与税や譲渡所得税などの課税対象にもなりかねません。本来自身が所有権を得る予定が、他の相続人へ登記してしまい、登記し直そうとした場合、課税されます。そのため相続登記を一度間違えると大きな税金を支払うことにもなりかねないデメリットが挙げられます。
自分で相続登記を行う方法・流れ
自身で相続登記を行う場合のメリット・デメリットを紹介しましたが、どのような流れで行うのでしょうか。ここでは相続手続きの流れと必要書類について紹介します。
遺言書または遺産分割協議書の確認
はじめに自身が不動産を相続することを証明できる書類を確認しましょう。相続登記を行う際は、不動産を相続することを第三者へ証明しなければいけません。
証明書となるのが、「遺言書」もしくは「遺産分割協議書」です。被相続人が遺言書を残しており、不動産の相続について明記されている場合、家庭裁判所の検認済み遺言書(遺言書が公正証書の場合は検認は不要)が証明書代わりになります。
遺言書がない場合は、相続人同士で話し合った内容をまとめた遺産分割協議書が証明書となります。
遺言書がある場合 | 検認済み遺言書が証明書(遺言書が公正証書の場合は検認は不要) |
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遺言書がない場合 | 相続人同士で話し合いを行い作成した、遺産分割協議書が証明書 |
必要書類の準備を行う
遺言書や遺産分割協議書などの証明できる書類の他に、必要な書類があります。必要書類は後ほど紹介します。申請書類は法務局の「不動産登記の申請書様式について」にてダウンロードすることが可能です。
申請書類は法務局で発行できる登記事項証明書に基づいた家屋番号や地番を明記しなければいけません。多くの方が間違えて住所を記載してしまうため注意してください。
管轄の法務局へ申請する
登記申請書やその他必要書類の準備ができた後は、管轄の法務局へ申請します。申請時には登録免許税を納税する必要があります。相続登記時の登録免許税の金額は「固定資産税評価額×0.4%」です。
役所で取得できる固定資産税評価証明書や固定資産税納税通知書(名寄帳でも可)に評価額が記載されているため確認しておきましょう。登記が完了した1週間から10日前後に登記識別情報の通知や登記完了書が発行されます。
売却する際に必要となるため大切に保管しておきましょう。
自分で相続する際に必要な書類
ここでは相続登記を行う際の必要書類について紹介します。
亡くなった方の戸籍謄本、住民票の除票(又は戸籍の附票)
被相続人が亡くなったことを証明するために必要です。亡くなった方の戸籍謄本と住民票除票(又は戸籍の附票)は被相続人の本籍地の役所で取得可能です。
費用は1通あたり300円~750円です。
相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書
被相続人との関係性を証明するために、相続人の戸籍謄本が必要です。戸籍謄本は相続人の本籍地の役所で取得可能ですが、マイナンバーカードがあればコンビニなどでも発行可能です。
不動産を取得する方の住民票
相続する方の住所が適切であるかを確認するために、相続人の住民票が必要です。住民票も役所・コンビニなどで取得可能です。※本籍地記載、個人番号なしで発行が必要
固定資産税評価証明書(名寄帳でも可)
相続登記時の登録免許税を算出するために必要です。固定資産税評価証明書は役所で発行可能です。費用に関しては各自治体異なりますが、数百円程度です。
検認済み遺言書または遺産分割協議
不動産を相続することを証明できる「検認済み遺言書」または「遺産分割協議書」を用意します。自筆証書遺言書は相続が開始してから開封するのではなく、家庭裁判所の確認である検認が必要です。
検認していない遺言書では相続登記できないため注意が必要です。公正証書遺言書の場合は、家庭裁判所の検認は不要です。
【事例】相続登記に関する事例はこちら
<<60代女性 相続登記を自分で行おうとしたが断念して相談した事例はこちら>>
まとめ:相続登記を自分で行うには知識と労力が必要
今回相続登記を自身で行う場合の手続き方法とメリット・デメリット、必要書類を紹介しました。費用面を考慮すると、自身で行うメリットはあります。
しかし専門性の高さや手続きの複雑さから自分で行うのは難しいかもしれません。さらに必要書類の準備には手間がかかります。
そのため多少費用はかかりますが、安心して進めたい方は専門家に依頼することをおすすめします。
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