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相続コラム

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自分で遺言書を作成する方法|正しい書き方で自筆しよう

遺言書は相続人同士の遺産トラブルを防ぐ方法として有効です。遺産を目の当たりにすると相続人同士で争うことも多く、裁判になるケースも少なくありません。しかし遺言書を作成し、遺産分割方法を明記しておくと、相続トラブルを防ぐことが可能な場合も多いです。

ただし法的効力がある遺言書でなければなりません。遺言書は正しい書き方をしないと無効となるため、あらかじめ作成方法を理解しておくことが望ましいでしょう。

そこで今回、自身で遺言書を作成する場合の正しい方法を紹介します。これから終活をしようとお考えの方はぜひ参考にしてください。

目次

自分で書く前に知っておきたい遺言書の種類

遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。それぞれの特徴を下記の表にまとめました。

遺言書の種類 自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
作成者 本人 公証人 本人(代筆でも可能)
証人の有無 不要 二人必要 二人必要
費用 無料 5,000円以上 11,000円
遺言の偽造・改ざんの可能性 可能性あり(自筆証書遺言書保管制度利用の場合はなし) 無し 低い
保管方法 本人
法務局
弁護士など
公証役場 本人
裁判所の検認 必要(自筆証書遺言書保管制度利用の場合は不要) 不要 必要

上記の3種類の中で最も利用されているのが自筆証書遺言です。自身で作成できるだけでなく、費用も発生しないことが主な理由です。

一方公正証書遺言は証人の必要性から使用されていることも多くはありません。秘密証書遺言に関しては現在ではほとんど使用されていない状況です。

遺言書を自分で書くメリット

遺言書を自分で作成するメリットは下記の3つが挙げられます。

相続争いの予防

遺言書は相続争いを予防する効果が見込めます。相続争いは年々増加しており、最高裁判所の司法統計によると、2020年には11,303件ほど遺産分割事件が発生しています。

仲が良かった兄弟や親族であっても大きな財産を目の当たりにするとトラブルになることも多く、時間と労力、費用が発生します。しかし遺言書があれば、相続争いを防げる可能性があります。

遺言書は被相続人(亡くなった人)の意思を示した書類であるため、相続人も内容に納得して遺産分割することが多いからです。

司法統計(令和2年度 44 遺産分割事件数 終局区分別 家庭裁判所別):https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/279/012279.pdf

遺産分割協議の回避

遺言書がない場合、遺産分割協議を行い、相続人同士で遺産割合を決めて分割します。遺産分割協議は「法定相続分で分け合うケース」と「相続人同士で話し合って決めるケース」の2種類が挙げられます。

法定相続分である場合はトラブルなくスムーズに進められますが、相続人同士で話し合う場合は、相続争いにつながる可能性も高く、時間がかかり決まらないケースも見受けられます。

しかし遺言書があれば相続する遺産割合が決められているため、遺産分割協議を回避することも可能です。もちろん遺言書の内容に納得できない人がいる場合、遺産分割協議でなく裁判になるケースもあり、より時間と労力がかかる可能性もある点は注意が必要です。

相続手続きがスムーズになる

遺産分割協議にて遺産分割方法が決まらないと、相続手続きが進められず、期限までに申告と納税ができない可能性もあります。しかし遺言書があれば遺産分割協議書が不要となりスムーズに相続手続きを進めることが可能です。

相続税の申告と納税は相続が発生してから10か月以内と定められており、期限を過ぎると延滞税や特例が使えなくなるなどのペナルティーが発生します。そのため、相続発生後は速やかに手続きしなければいけない中、遺言書は非常に有効です。

自筆証書遺言書を自分で書く際の正しい方法

自筆証書遺言書を自身で作成する場合の手順を紹介します。作成方法を間違えると効力の無い遺言書となるため、正しい作成手順を覚えましょう。

用紙と書式を決めて用意する

はじめに遺言書の用紙と書式を決めます。一般的にはA4サイズの紙が使用されています。遺言書は基本的に自筆でなければなりませんが、財産を整理して一覧にした「財産目録」は登記事項証明書の一部分や,コピーを添付しても問題ありません。

縦書き・横書きなどにも指定はないものの、他の人が見やすいように書くようにしましょう。

財産を洗い出し相続関係図をまとめる

遺言書を作成するときは「どの財産を誰に」という内容を記載するため、あらかじめ洗い出しした財産と相続関係図をまとめておくことをおすすめします。

まとめておくことで、スムーズに遺言書の作成が可能となります。

相続財産の分け方を決めて下書きする

相続財産に分け方を決めて下書きをします。もちろんはじめから清書してもよいですが、作成途中に変更できるよう、一度下書きをすることをおすすめします。

書き方に間違いがないかを確認する

下書きが完了した後は、間違いがないかを確認します。間違えた遺言書を作成してしまっても、そのまま相続に反映されてしまうため、何度も確認するようにしましょう。

清書して封筒に入れて保管する

確認後は清書して封筒に入れ、封印を押します。その後自身で保管するようにしましょう。保管する際、相続発生後に相続人が見つけられるような場所にしまっておくことがポイントです。

見つからなければ効力は発揮されないため、誰でもわかるような所にしまっておく必要があります。ただしその場合、見つけられてしまい、相続人に遺言書を偽造されてしまう可能性があります。

そのため、遺言書の作成後は法務局で管理してくれる「自筆証書遺言書保管制度」の利用がおすすめです。

【関連記事】遺言書の保管は制度を使って法務局へ|紛失や改ざんから守る方法

遺言書を自分で書く際のポイント

遺言書を自分で書く際は正しい書き方だけでなく、注意しなければいけないポイントもあります。ここでは3つのポイントを紹介します。

相続税の金額を予測する

各相続人の相続税を始めに計算しておくことで、トラブルになりにくい遺言書を作成することにつながります。相続税は各相続人によって納税額が異なります。

さらに配偶者に関しては「配偶者控除」が適用されるため、1億6千万円までは納税額が0円となります。一方子供などには特例がないため、理不尽に感じる方もいらっしゃるでしょう。

そのためあらかじめ相続税の計算を行い、相続税の負担を少なくするように遺産分割割合を定めるのも一つの方法です。とはいえ相続税の計算は非常に複雑であるため、税理士に相談しながら作成することをおすすめします。

遺留分まで考慮しておく

遺留分とは相続人が最低限取得できる財産割合のことを指します。遺言書で「特定の人だけに相続する」と記載してあったとしても、他の相続人には遺留分を主張することが可能です。

そのため、あらかじめ遺留分まで考慮しておくことがポイントの一つです。遺留分は下記の割合と定められています。

相続人 遺留分
割合
配偶者の
遺留分割合
子供の遺留分割合 親の遺留分割合
配偶者のみ 1/2 1/2
配偶者と子供 1/2 1/4 1/4
配偶者と両親 1/2 1/3 1/6ずつ
配偶者と兄弟 1/2 1/2
子供のみ 1/2 1/2
子供2人のみ 1/2 1/4ずつ
親のみ 1/3 1/3

上記の表を確認し、あらかじめ各相続人にはどれくらい遺留分を主張できるか把握しておきましょう。遺留分を無視した相続割合にすると、相続人同士でトラブルにもなりかねません。

遺言執行者を指定しておく

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために手続きを行ってくれる人のことを指します。いわば、代表者・仲介人のような役割です。遺言執行者を指定しておくことは法律上義務付けられていませんが、相続手続きをスムーズにすすめるために有効です。

一般的には司法書士や弁護士などに依頼します。司法書士や弁護士に依頼することで、不動産登記や金融機関の解約・名義変更などを行なってくれるメリットがあります。また遠隔地に住んでいる相続人でも対応してくれるため、より円滑に手続きを進めることが可能となります。

遺言書を自分で書く際の注意点

最後に遺言書を自分で書く際の注意点を5つ紹介します。

家庭裁判所の検認が必要

遺言書は相続が発生した後、即座に開封することはできず、家庭裁判所の検認が必要です。検認とは相続人全員に遺言書があることを裁判所から知らせ、偽造や変造を防ぐことを指します。

検認せずに開封してしまうと、「本当に遺言者が執筆したものであるか、見つけた人が偽造したのではないか」という疑問が生じます。そのため封印された遺言書は家庭裁判所で開封する「検認手続き」が必要となります。

検認手続きは申請してから1〜2か月ほどの日数がかかるため、相続発生後すぐに内容を確認できません。また相続税の申告と納税には期限が定められているため、検認申請は間違えないように注意が必要です。

相続発生後の検認を省きたい方には、「自筆証書遺言書保管制度」がおすすめです。法務局で遺言書を管理してくれるうえ、相続発生時に相続人に遺言書の所在を知らせてくれ、なおかつ検認不要となります。

そのため相続発生後は速やかに遺言書の内容を確認することが可能となります。

共同の遺言書は作成できない

遺言書の作成を夫婦で行いたいという方もいらっしゃると思いますが、共同の遺言書は民法975条で禁止されています。そのため共同名義で作成することはできません。

ただし相談しながら作成したり、それぞれが遺言書を作成したりすることに関しては問題ありません。

遺言者の遺言能力が必要

遺言能力とは、自身で作成した遺言書の内容やどのように相続されるかを認識する能力のことを指します。つまり、認知症や精神障害などの方は遺言能力がないと判断されるため、遺言書を作成しても効力が発揮しません。

また民法961条により遺言を行えるのは15歳以上と定められています。

書き漏れは無効となる

遺言書は下記の項目の書き漏れがあった場合、無効となります。

  • 作成日の書き忘れ
  • 押印し忘れた
  • 内容が不明確だった
  • 自筆ではない
  • 署名がない

遺言書は一度作成したら弁護士や司法書士などの専門家に内容を確認してもらうようにしましょう。確認せず効力の無い遺言書を作成しては意味がありません。

訂正は規定に従う必要がある

遺言書の訂正を行う際は、規定に従って修正しなければいけないため、あらかじめ訂正方法を理解しておく必要があります。

訂正方法は主に下記の通りです。

  • 訂正箇所に二重線を引き、訂正印を押印する
  • 訂正箇所がわかるように「第〇条について何字削除(または追加・加入)」などと記載する

上記のルールに沿わない形で訂正してしまうと、遺言書の効力が発揮しません。不安のある方は専門家にチェックしてもらいながら訂正しましょう。

【関連記事】秘密証書遺言のメリット4選・デメリット5選!作成方法と作成時の注意点もご紹介

まとめ:自分で遺言書を作成する場合でも専門家へ確認しましょう

今回は自分で遺言書を作成する場合の正しい方法と注意点を紹介しました。遺言書は相続争いなどを防ぐ方法として有効ですが、正しい作成方法でなければ効力が発揮しません。

そのため遺言書を作成する際は、あらかじめ手順や記入方法を理解しておくことが望ましいでしょう。とはいえ最終的には専門家の確認を受けていたほうがよいかもしれません。

自分では正しいと思っていてもプロがチェックすると不備が見つかる可能性があります。あとで後悔しないためにも、一度専門家に相談してみましょう。

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