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株式の相続の流れとは?相続する際の注意点や売却方法も解説

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相続が発生した場合、遺産分割協議を行った後に財産を分配します。財産には現金や不動産などの他に、株式も含まれます。

株式を相続する際は相続人であることが証明できる遺産分割協議書が必要となり、名義を変更する手続きが行わなければいけません。名義変更しなければ株式を運用することも、売却することもできません。

そこで今回は株式を相続する際の流れを紹介します。また注意点や売却方法も解説するため、これから相続を控えている人はぜひ参考にしてください。

目次

株式を相続する流れ

株式を相続する流れは以下の通りです。

  • ①遺言書があるか確認する
  • ②相続人を確認する
  • ③財産調査を行う
  • ④相続放棄するか判断する
  • ⑤遺産分割協議を行う
  • ⑥株式の名義変更を行う

それぞれの内容について詳しく解説します。

①遺言書があるか確認する

相続が発生した後は被相続人が残した遺言書があるか確認します。遺言書は被相続人が財産の分配方法を記した書類であり、基本的にその内容に則って遺産を分割します。

ただし、遺言書通りに遺産分割しなければいけないという決まりはありません。後に紹介する遺産分割協議で、相続人全員が納得できる分割方法であれば遺言書の内容に従わなくても構いません。

遺言書の保管方法には被相続人が保管するパターンと、公証人役場や法務局で保管するパターンがあります。自宅で見つからない方は、法務局や公証人役場で保管しているかもしれません。

②相続人を確認する

法定相続人は配偶者や子ども、両親や兄弟などが該当するケースが多いですが、被相続人に隠し子がいる場合、その子も法定相続人に該当します。そのため相続が発生した後は、被相続人の戸籍をさかのぼり、過去の家系まで確認して相続人を確定させます。

戸籍謄本などの見方がわからず、相続人探しに時間を費やしたくない方は司法書士などの専門家へ依頼することも可能です。

③財産調査を行う

被相続人が残した財産がどれくらいあるのか調査を行います。調査を行うのは以下の財産です。

  1. 預貯金(預金通帳を確認し金融機関へ連絡)
  2. 不動産(登記簿謄本を確認し、税理士などへ評価額を算出してもらう)
  3. 生命保険(保険証券を確認し、保険会社へ連絡)
  4. 株式、投資信託、有価証券(証券を確認し、証券会社や信託会社へ確認)
  5. 借金などの債務(返済予定表などを確認し、金融機関などへ確認)
  6. 貴金属や自動車、ゴルフ会員権など(実物はそのまま保有しているもの。ゴルフ会員権はゴルフ場へ確認)

株式などを調査する場合は、証券会社や信託会社へ連絡します。株式を保有しているか分からない方は、証券保管振替機構に開示請求することで確認できます。

他の財産に関しても関連書類を見つけ関連企業や金融機関、行政へ確認するようにしましょう。

④相続放棄するか判断する

相続は財産の他にも被相続人が残した負債も引き継ぐことになります。負債を引き継いだ相続人は、被相続人に代わって返済していく必要があるため、相続したくないと思う方もいらっしゃるでしょう。

その場合は相続放棄を行い、相続に関する一切の権利を喪失することも可能です。

⑤遺産分割協議を行う

財産調査と相続人が確定した後は、遺産分割協議を行います。遺産分割協議とは相続人全員が集まり、「どの財産を誰が相続するかを決める会議」です。

全員が納得するまで何度でも行うため、最も時間のかかる作業であり、相続人同士が揉めることもあります。

遺産分割協議により財産の分け方が決まった後は、その内容を残した遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・捺印します。書類が完成して遺産分割協議は完了となります。

⑥株式の名義変更を行う

株式の名義変更をする際は遺産分割協議書を証券会社や信託会社へ提出し、自身が株式を相続する旨を伝え、名義変更を行います。名義変更しなければ株式の運用もできず、売却して現金にすることもできません。

名義変更できるのは株式を相続することが決まった相続人であり、その証明として遺産分割協議書が必要となります。その他にも身分証明書や印鑑証明書、マイナンバーカードなども必要となるため、事前に証券会社などへ確認しておきましょう。

 

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相続する株式を売却する方法

被相続人が残した株式を売却し、現金にしたいという方もいらっしゃるでしょう。ここでは株式を売却する方法を紹介します。

相続人ごとに売却する場合

株式の所有は一人とは限りません。10万株の株式を相続人2人で相続する場合は共有名義となります。共有名義の場合は、双方が納得する株数に分けますが、それぞれ株式を管理する証券会社専用口座を開設します。すでに口座を所有している方はその口座を使用しても問題ありません。

口座開設した後は遺産分割協議書や身分証明書などを証券会社へ提出し、自身が相続人である旨を証明します。証明できた後は開設した口座へ株式を移管し、売却することが可能となります。

一括売却する場合

株式は遺産分割協議前に一括売却することも可能です。その場合、売却によって生じた現金は遺産分割協議で分けることが可能です。一括売却を行う場合、相続人の中で代表者を決め、他の相続人から委任状を受け取ります。

相続人全員が同意している必要があるため、全員から委任状を受け取るようにしましょう。

 

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相続する株式の評価方法と節税対策

相続する株式も評価額を算出し、財産の一部となります。評価額は遺産分割協議だけでなく後の相続税にも影響するため、評価額の算出方法は理解しておきましょう。

相続する株式の評価方法

株式の評価方法は、相続発生時の価格を基に評価を行います。具体的には以下の4つのうち最も価格が低い金額となります。

  • 相続開始日の終値(土日などの株式市場が休みの日は相続開始日に最も近い日の終値)
  •  相続開始日の当月の終値平均
  •  相続開始日の前月の終値平均
  •  相続開始日の前々月の終値平均

株式の評価額は最も価格が低い金額となるため、急激に株価が上昇しても高い評価額にならないメリットが挙げられます。

ただし、例外もあります。

株式は売買した3営業日後に引き渡しが行われるため、3日前に購入していなければ権利を持っていないことになります(権利落ち)。権利落ちの株式を所有している場合は、権利落ち日の前日以前で相続発生日に近い終値で評価されます。

相続する株式の節税対策

相続する株式の節税するには「相続時精算課税制度」を利用した生前贈与が有効です。相続時精算課税制度とは、2,500万円までの財産を非課税で贈与できる方法です。ただし、相続が発生した際は、贈与した財産を贈与者の財産とみなして相続税を計算します。

つまり形式上、受贈者の財産になるものの、相続発生時は贈与者の財産として相続税を納税しなければいけないということです。

しかし、財産の評価額は相続発生時の価格ではなく、贈与した時の評価額となるため、株価が低い場合は相続税の節税効果につながることになります。

一方で株価が贈与時より相続時の方が低い場合はデメリットにもなるため、株式の価値を予測する株式分析ができない方にとっては運任せということでもあります。

非上場株式を相続する場合

非上場株式は譲渡制限が付いていることが多く、自由に譲渡はできないこともあります。そもそも非上場株式の人気はほとんどなく、購入する方もいらっしゃらないでしょう。

非上場株式は被相続人が中小企業の代表者である場合が多く、相続発生後は企業側が買い取ることがほとんどです。そのため相続で非上場株式を受け取る際は企業へ連絡してみましょう。

 

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まとめ:株式の相続は他の財産と一緒に進めよう

今回は株式の相続に着目し、手続きの流れや売却方法を紹介しました。株式であっても相続の流れは他の財産と同様です。遺言書の確認を行い、株式の相続人について記載がないか確認してみましょう。

遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い株式を分けます。しかし、複雑な手続きで相続人同士でトラブルにもなりかねないため、司法書士や弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。

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