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相続税が払えない時の対処法4選|払えない場合の罰則も解説します

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相続税は相続発生から10か月以内に納税しなければいけません。しかし相続税の平均納税額は1,700万円以上であり、簡単に支払える金額ではありません。

もちろん人によって納税額は異なるものの、相続税が支払えないという方もいらっしゃるでしょう。そこで今回、相続税が支払えない時の対処法を4つ紹介します。

また支払えなかった際のデメリットも解説するため、これから相続を控えている人はぜひ参考にしてください。

目次

相続税が払えない時の対処法4選

相続税が支払えない時の対処法は4つあります。それぞれ対処法が異なるため、どの方法が適用できるか理解しておきましょう。

相続税の分割払いをする(延納)

相続税は現金一括払いが基本ですが分割払い(延納)も可能です。ただし延納する場合は国税庁が定めた下記の4つの条件を満たす必要があります。

  1. 相続税額が10万円を超えること。
  2. 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
  3. 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること。ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。
  4. 延納申請に係る相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。

引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4211.htm

上記の内容を詳しく解説します。

  • 相続税額が10万円を超えること

相続税額は一人あたりの金額です。相続人全員の合計額ではなく、個人の納税額が10万円以上である必要があります。

  • 金銭納付が困難な金額であること

金銭納付が難しい場合は相続人は延納することが可能です。生活費で精一杯な人や小さな子どもなど、納税することが難しい人が該当します。

  • 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること

不動産や有価証券を担保に延納することが可能です。ただし納税額が100万円以下で期間が3年未満の場合は担保を提供する必要はありません。

  • 延納申請に係る相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること

相続発生から10か月以内に「延納申請書」「担保提供関係書類」「金銭納付を困難とする理由書」を税務署に提出することで延納できます。

延納する際の相続財産の3/4が不動産の場合、最大20年間かけて支払うことが可能です。一方で利子税が取られることになるため、通常の納税額より多くなるデメリットが挙げられます。

土地などの不動産で納める(物納)

物納とは相続税を現金納付できない場合、物で納税することを指します。とはいえ、物であれば何でも良いわけではありません。

物納できるのは以下の物が該当し、優先順位が高いものから納付することが可能です。

第一順位 不動産・船舶・国債・地方債証券・上場株式など
第二順位 非上場株式など
第三順位 動産

物納する際は不動産から納めます。自身が所有している賃貸物件や自宅などが該当するため、最悪の場合は自身が住んでいる住居を失うかもしれません。

物納する際はどの財産であれば納税額に充当する金額となるか調べてから行う必要があります。

物納が認められる条件

物納が認められる条件は国税庁が定める以下の項目に全て該当している必要があります。

  1. 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること
  2. 物納申請財産は定められた種類の財産及び順位で、その所在が日本国内にあること
  3. 物納にあてることができる財産は、管理処分不適格財産に該当しないものであること、および物納劣後財産に該当する場合には、ほかに物納にあてるべき適当な財産がないこと
  4. 物納しようとする相続税の納期限または納付すべき日(物納申請期限)までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出すること

相続税は現金一括納付が基本であるため、支払える金銭があるのにもかかわらず物納したいということは認められません。

また不動産を物納する場合は、相場価格より安く評価されるデメリットがあるため慎重に検討しましょう。

相続した財産の売却で得た現金で納める

先ほどは物納による納税方法を紹介しましたが、不動産や株などは通常通り売却した方が高い価格で売却できることが多いです。物納はすぐに納付できる良さがある一方、市場価格より安くなります。

申告期限までに時間がある場合は不動産会社や証券会社を経由して売却した方が高く売れるため、物納をする前の選択肢としておきましょう。ただし、財産を売却する際は遺産分割協議書の作成が完了している必要があります。

遺産分割協議書は誰がどの財産を相続するかを明記したものであり、売却できる人は遺産分割協議書にてその財産を相続する方です。違う財産を相続した方は売却できないため注意して下さい。

相続放棄する

相続放棄をすることで相続税の納税を免れられます。相続放棄とは相続人が相続に関する権利を全て放棄することを言います。

相続放棄することで相続税を納税しなくて済む一方、財産を相続することもなくなります。また相続放棄は相続発生してから3か月以内と定められています。

ただし、3か月を過ぎても裁判所が期間延長を認めれば相続放棄をすることが可能です。

 

【関連記事】相続税の非課税の限度額についてはこちら

相続税が払えなくなるとどうなるのか?

相続税が支払えないと以下のようなデメリットがあります。

無申告加算税

無申告加算税とは申告期限までに相続税の申告と納税を行わなかった方に対し相続税の他に課税される税金です。

税額は条件によって以下のように税率が異なります。

申告条件 相続税額のうち50万円以下の部分 相続税額のうち50万円以上の部分
税務調査の事前調査前に事前申告した場合 5%
税務調査を受ける前に自主申告した場合 10% 15%
税務調査後に申告した場合 15% 20%
過去5年以内に相続税で無申告加算税または重加算税を重ねたことがあり、税務調査を受けて申告した場合 25% 30%

最大で30%近い金額を支払うことにもなりかねません。それほど申告期限が切れた納税は大きなペナルティがあると理解しておく必要があります。

延滞税

延滞税は10か月以内に相続税を納税しなかった際に課せられます。

延滞税は日割り計算となり、以下の計算方法で算出できます。

延滞税=(未納額×税率×延滞日数)/365日

税率は以下の通りです。

本則税率 令和4年度内
納期限の翌日から2か月まで 14.6% 2.4%
納期限の翌日から2か月以降 7.3% 8.7%

延滞税がかかる際は無申告加算税もかかるケースが多いです。2つを足すと大きな金額となるため、相続税は申告期限までに支払うようにしましょう。

しかし申告期限までに支払わなかった場合はどのようになるのでしょうか。次の項で紹介します。

滞納し続けた場合

相続税を滞納し続けた場合は、所有財産が国に差し押さえされることになります。一般的には不動産が差し押さえされますが、それでも相続税額に不足している場合は、所有する動産などが競売にかけられることもあります。

また相続税は連帯納付義務があるため、一人の相続人が支払えないと他の相続人が支払うことにもなります。そのため全員が納税しているか確認しておく必要があります。

 

【関連記事】遺産相続の方法は?必要書類から収集方法はこちら

税理士に相談すれば納税額が減る可能性も

相続税は税理士へ相談すると節税効果が見込める可能性も高まります。相続税額は高額な金額となるため、少しでも納税額を抑えたいと思う方も多いのではないでしょうか。相続税は相続発生してからではなく、被相続人が生前時に対処することで節税が可能です。

現金より、不動産の方が相続税評価額は下がるため、現金を不動産に変えることで相続税を抑えることができます。

また生命保険金などをうまく利用して非課税財産とする方法もあります。そのような知識は税理士などの専門家でなければ分からないことも多いため、迷わず相談するようにしましょう。

まとめ:相続税が払えないと思ったらすぐに専門家のもとへ

今回は相続税が支払えない場合の対処法とペナルティを紹介しました。対処法は4つあるものの、どの方法であってもメリットは見込めません。

延納は支払い額が増え、物納より通常売却した方が大きな売却益になるため、申告期限までに現金で納税することが最も有効的です。また申告期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税などを支払うことにもなります。

相続税額は被相続人が生前時でも算出可能です。事前にいくらの納税額になるか税理士に計算してもらい、節税方法を教えてもらうようにしましょう。

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