相続手続
土地の遺産相続の主な流れと必要な手続きをご紹介!
親が亡くなり、土地を相続することになった方は、どのような流れで相続手続きをすれば良いかわからない方も多いのではないでしょうか。
相続は急に発生するため、葬儀などの準備に即座に対応しなければいけませんが、相続税の申告は10か月以内という期限があります。
相続税は決して安い金額ではない為、場合によっては、土地を売却して納税される方もいらっしゃいます。
そこで今回、土地の遺産相続に着目し、相続が開始してから土地を売却するまでの流れや手続き方法などを解説します。
いつ発生するか分からない相続なので、本記事を読んで事前に対策できるようにしておきましょう。
目次
土地の相続から売却までの流れ
相続した土地を売却するには、どのような手順で行えばよいでしょうか。
ここでは売却するまでの流れを4項目に分けて解説します。
1.相続登記で名義の変更を行う
土地を売却する際は、土地の名義を相続した方へ変更する手続きを行います。
手続きは遺産分割協議書を元に、土地を相続する人へ所有権を移転登記します。
登記に関しては、法務局にて自身で行うことも可能ですが、手続きが複雑なため、司法書士に委託することが多いです。
2.不動産屋に売却依頼をする
土地の名義変更が完了した後は、不動産会社に売却査定依頼を行います。
売却査定では費用は掛かりませんが、土地の売買契約時では下記の2つの費用が必要となります。
- 仲介手数料
- 契約印紙
仲介手数料
土地の売買契約を締結した際は、仲介してくれた不動産会社に仲介手数料を支払います。
仲介手数料は下記の計算方法で算出できます。
(土地代金×3%+6万円)×消費税
契約印紙
契約印紙は、売買契約書に添付する義務があり、買主と売主が1つずつ用意します。
契約印紙も売買代金によって変わりますので、下記の表を参考にしてください。
令和4年4月1日から令和6年3月31日までの契約では軽減措置が適用されます。
契約金額 | 令和4年4月1日以前の契約 | 令和4年4月1日から令和6年3月31日までの契約 |
---|---|---|
不動産売買契約価格 | ||
1万円未満 | 非課税 | |
10万円を超え50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 1000円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
3.買い手がつきやすい土地にする
売却する土地がすべて更地であるとは言えず、既存建物がある場合もあるでしょう。
老朽化した建物がある場合、解体費用やリフォーム費用を考慮すると、新たな買い手が見つかりにくいです。
土地は建物を解体して更地にした方が売却しやすい傾向があるため、売主は買い手が購入しやすい土地の状態にすることを検討しておきましょう。
4.譲渡所得税を支払う
土地を売却して利益が出た場合は、譲渡所得税を支払う必要があります。
売却価格に税金が課せられるわけではなく、売却価格から取得費や売却諸費用を差し引いた売却利益に課税されます。
売却利益=売却価格-取得費-売却時諸費用 |
土地の取得費は、被相続人が購入した時の代金を指します。
つまり、売却価格より購入した代金の方が高ければ課税されることはありません。
しかし、購入時の代金を確認できる書類が無い場合は、売却価格の一律5%が取得費となります。
また売却時諸費用は、先ほどの紹介した仲介手数料や印紙代金、解体費用などが該当します。
それらの費用を売却価格から差し引き、売却利益が出た場合、税率を掛けた金額を納税します。
税率は不動産を保有していた期間によって異なります。
所有期間が5年以上 | 譲渡所得(売却利益)×20%=納税額 |
所有期間が5年未満 | 譲渡所得(売却利益)×39%=納税額 |
相続名義の変更が完了して5年以内に売却する場合と、5年以降に売却する場合では、税率は大きく異なりますので注意しましょう。
【関連記事】被相続人の土地がどこにあるかわからないケースはこちら
土地の相続税の計算方法
相続税を計算する上で、課税遺産総額を算出する必要があります。
課税遺産総額とは、被相続人の財産の合計額です。
土地も財産に含まれるため、土地の相続税評価額を計算する必要があります。
計算方法には下記の2つの方式があります。
路線価方式
路線価方式とは、土地の面積に路線価をかけて算出する方法です。
路線価とは、国税庁が定めている1㎡あたりの宅地の評価額であり、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認できます。
参照:https://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm
路線価方式での相続税評価額は下記の方法で算出できます。
路線価方式での相続税評価額=土地の面積×路線価 |
例えば、土地の面積が300㎡で路線価が10万円である場合、土地の相続税評価額は3,000万円となります。
しかし、同じ面積の土地であっても、間口が狭く、奥行きがある土地もあります。
そのような土地は利用しにくいため、奥行補正をして算出するのが通常です。
奥行補正は用途や奥行によって異なります。
国税庁が発表している奥行価格補正率を路線価にかけることで、相続税評価額を算出することが可能です。
参照:https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm
先ほどの例をもとに、奥行補正率が0.95で計算すると、300㎡×(10万円×0.95)=2,850万円となります。
一般的には、土地の相続税評価額は路線価方式で算出するケースが多いため、計算方法を理解しておきましょう。
倍率方式
倍率方式は、路線価が設定されていない土地の相続税評価額を算出する方法です。
固定資産税評価額に路線価図・評価倍率表の倍率をかけて算出できます。
倍率方式=固定資産税評価額×倍率 |
固定資産税評価額は、土地所有者に毎年送られてくる、固定資産税納税通知書で確認できますが、万が一紛失した場合は各市町村でも確認できます。
固定資産税評価額と倍率が分かれば、倍率方式での相続税評価額を算出することが可能です。
例えば、固定資産税評価額が2,000万円で、倍率が1.1倍の場合、
2,000万円×1.1=2,200万円が相続税評価額となります。
倍率方式は一般的に田舎の土地などの相続税評価額を算出する際に用いられるケースが多いです。
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土地を相続する際に必要な書類
土地を相続して登記する際は、下記の書類が必要となります。
土地の登記事項証明書 |
被相続人の住民票の除票 |
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 |
相続人全員の現在の戸籍謄本 |
土地を取得する人の住民票、又は戸籍の附票 |
固定資産評価証明書 |
相続人全員の印鑑証明書 |
これらの書類は法務局と市役所で取得できます。
しかし、即座に発行されない書類もあるので、可能なだけ早めに手続きしておきましょう。
また上記の書類の他に、以下の書類が必要となる場合もあります。
遺言書(原本) |
司法書士への委任状 |
遺産分割協議書 |
必要書類に関して紹介しましたが、土地を相続する際は事前に司法書士などに確認しましょう。
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4つの土地分割方法
相続する土地を相続人の間で分けることになった場合は、どのような分割方法があるのでしょうか。
相続人同士で財産の分割で争わないためにも、以下の4つの方法は理解しておきましょう。
現物分割
相続する遺産の形状を変えずに相続人が分け合う方法です。
例えば、不動産は長男に、預貯金などは全て次男になど、現状から形を変えずに相続します。
遺言書があれば、遺言書に基づいて簡単に分割できるメリットがあります。
しかし、分割する財産価値に違いが生じることもあり、不公平になりかねません。
簡単に分割できるメリットがあるものの、金額の不平等が相続人間で争いを生む可能性もあるという点は注意しておきましょう。
代償分割
代償分割とは、複数の相続人が居る場合、一人だけが土地を相続し、残りの相続人には金銭で清算する方法です。
例えば相続人である長男が、被相続人と同居していた場合、別の家に住んでいる他の相続人はその家と土地に関しては不要でしょう。
その土地の所有権の代わりに、法定相続分に合わせて計算した金額を他の相続人に支払い、清算する仕組みです。
共有分割
共有分割とは、土地の所有権である持分を相続人間で共有する方法です。
持分を共有することで、公平に財産を分割できるので、相続争いになる可能性を防ぐことに繋がります。
一方、土地を売却する際は、共有名義者全員の同意が必要となります。
持分だけを売却することは可能ですが、不動産全体の自由度は下がるので注意しましょう。
換価分割
土地を売却して現金に変え、相続人間で分割する方法です。
現金に変えることで、公平に財産を分けることが可能です。
また相続税の納税代金に充てることもできるメリットもあります。
相続した土地を売却するときの注意点
相続した土地を売却する場合、相続人間で争いになることに注意しなければなりません。
相続での一番のトラブルは、相続人同士での財産の分割割合や分割方法です。
「財産が多い」「土地が欲しい」などさまざまな要因が挙げられるなかで、相続財産の分割方法がまとまらないとスムーズに売却できません。
そのため、相続人間で売却に対しての同意ができているかを確認する必要があります。
【事例】土地の相続に関する事例
まとめ
この記事では相続した土地の売却方法や流れ、手続き方法を解説しました。
売却するためには遺産分割協議を行い、誰が相続するかを決めてからスタートします。
もちろん遺産分割協議をもとに相続しますが、どのような形で財産を分与するのかを事前に決めておくことで、相続人間で争う可能性は低くなるでしょう。
また、売却時にはさまざまな費用が必要になります。
流れだけを理解するのではなく、「どのような支出があるのか」「税金を踏まえて手残りが出るか」を計算してから売却しましょう。
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