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不動産の相続にかかる税金は?税金の計算方法・評価方法を詳しく解説

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不動産を相続した際は、さまざまな手続きを行い、相続を完了させなければなりません。
しかし、不動産を相続した際にどのような税金が課せられるか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、本記事では相続が発生した後にかかる税金と計算方法を紹介します。
また、どのような計算方法で相続税が計算されているかも説明しますので、事前にいくら相続税がかかるか概算を把握しておきましょう。

目次

不動産にかかる税金

不動産を相続した時には、主に「相続税」と「登録免許税」の2つの税金が課せられます。

相続税とは?

相続税とは、亡くなった方の財産を相続した人に課せられる税金です。

誰でも課せられる税金ではなく、一定額以上の遺産を相続した方が対象です。

一定額は相続人の数や、被相続人の負債などに関連するため、一概には言えないものの、基礎控除である「3,000万円+ 600万円×法定相続人の数」未満の遺産であれば課税されません。

基礎控除の金額を見ると、課税されないと思われる方も少なからずいらっしゃると思いますが、納税者は年々増加傾向にあり、平成30年度では死亡者数に対し、被相続人の約8.5%が納税対象者となっています。

そのため、相続税の課税対象になる可能性があるということは認識しておくべきです。

相続税の手続きの流れ

相続税は、原則として相続発生から10か月以内に申告と納付を完了する必要があります。

期限を過ぎてしまうと、さまざまなペナルティやデメリットがあるので、相続税の申告までの手続きの流れと期限を理解しておくことが大切です。

 

下記の表は相続税の申告と納付までの手続き内容と、期限を記載したものです。

期間制限のないものも多くありますが、期間制限のある手続きを間に合わせるためには、結果としてそれまでに対応が必要になります。

相続発生
遺言書の確認 期間制限なし
相続人の確認
遺産の調査
遺産分割協議 期間制限なし
相続税の計算 10か月以内
相続財産の名義変更 期間制限なし
相続税の申告書を作成 10か月以内
相続税の申告・納税 10か月以内

相続発生から10か月以内に遺産分割協議や相続税の計算などを行いますが、申告直前に行っても間に合わない可能性が高いため、余裕を持ったスケジュールで行うのが良いでしょう。

【関連記事】不動産を遺産分割する方法とそのポイントはこちら

登録免許税

登録免許税とは、不動産の名義を相続人に切り替える際にかかる税金です。

相続する不動産が無い場合は課税されません。

登録免許税は、不動産の固定資産税評価額に0.4%の税率をかけ算出します。

固定資産税評価額は、毎年所有者に送付される固定資産税納税通知書に記載されているので確認してみましょう。

【事例】相続税の計算を代行した事例

<<不動産相続にかかる税金の計算方法はこちら>>

相続税の計算方法

ここでは「相続税の計算の流れ」と「土地の評価額計算方法」「建物評価額計算方法」を紹介します。

相続税の計算の流れ

相続税の流れは以下のようになります。

課税遺産総額の算出(総遺産の算出)
基礎控除と非課税財産の差し引き
債務及び葬式費用などを差し引き
課税遺産総額から法定相続人分に按分
法定相続人別の税率と控除額を差し引いて納税額の確定

1.課税遺産総額の算出(総遺産の算出)

課税遺産総額は被相続人の全ての財産を算出します。

預貯金や株券だけでなく、土地も財産とみなされるため、「路線価方式」などで土地の評価額を算出するのが通常です。

2.基礎控除と非課税財産の差し引き

課税遺産総額が算出された後は、基礎控除と非課税枠を差し引きます。

基礎控除は先ほど紹介した通り、法定相続人の数に合わせた金額です。

 

非課税財産は生命保険金や死亡退職金のうち、「500万円×法定相続人の数」までが該当します。

また、その他仏壇や仏具などの購入代金も非課税財産です。

3.債務及び葬式費用などを差し引き

基礎控除と非課税財産同様、債務や葬式費用なども課税遺産総額から差し引くことができます。

不動産を借入して購入していた場合、残債分をそのまま差し引けます。

また、葬儀にかかった費用も同様です。

4.課税遺産総額から法定相続人分に按分

課税遺産総額から基礎控除や非課税財産、債務などを差し引いた金額を法定相続分に按分します。

 

例えば課税遺産総額が5,000万円で、配偶者と子供が2人いた場合、配偶者は半分の2,500万円、子供一人あたりは1/4の1,250万円となります。

5.法定相続人別の税率と控除額を差し引く

相続人別の法定相続分が分かった後は、税率と控除額を差し引きます。

相続税の税率と控除額は下記の通りです。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

 

例えば子供の法定相続分が1,250万円である場合、「1250万円×15%-50万円=137.5万円」が納税額となります。

なお、配偶者は1億6千万円まで課税されない配偶者控除を利用できるので、相続税を納税する確率は低いです。

土地評価額

先ほどの課税遺産総額を算出する際、土地もどれくらいの評価額であるのかを計算しなければなりません。

土地の評価額を算出する方法は4つありますので紹介します。

路線価方式

路線価方式とは、国税庁が定める1㎡あたりの土地評価額を土地面積にかけて算出する方法です。

例えば路線価が15万円で土地の面積が200㎡である場合、3,000万円の土地評価額になるということです。

 なお、路線価は「財産評価基準書の路線価図・評価倍率表」で確認することが可能です。

財産評価基準書:https://www.rosenka.nta.go.jp/

倍率方式

路線価が設定されていない田舎などの土地は、倍率方式で土地の評価額を算出します。

倍率方式で土地の評価額を算出する場合は、「固定資産税評価額×倍率」で計算することが可能です。

なお、倍率に関しては、路線価方式同様「財産評価基準書の路線価図・評価倍率表」で確認できます。

不動産鑑定士による鑑定評価

一般的に路線価方式や倍率方式で土地の評価額を算出しますが、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼することもできます。

鑑定評価を利用した方がメリットがある可能性がある場合に利用されますが、税務調査で鑑定評価額が否認されることもあります。

売却価額による評価

売却価格による評価は、相続後に土地を売却した金額を相続税評価額とする方法です。

ただし、路線価方式のほうが優先順位は高いため、こちらも採用されることは少ないです。

また、不動産鑑定士による鑑定評価同様、税務署から否認される場合もあるため注意しておきましょう。

建物評価額

これまで土地の評価額について解説してきましたが、土地の上に建物がある場合もあります。

そこで建物の評価額計算の方法を紹介していきます。

東京都内マンション

東京都内のマンションを保有されている方は、毎年届く固定資産税納税通知書に固定資産税標準額が記載されています。

その金額がおおむねの相続税評価額になります。

賃貸アパート・マンション

賃貸アパートや賃貸マンションなど、借地をしている物件に関しては下記の計算式で建物評価額を算出します。

建物の固定資産税評価額×(1-借家権割合(30%)×賃貸割合)

賃貸割合は、実際に貸している床面積割合を指します。

そのため自宅と賃貸アパートが併用された物件である場合、全体の床面積から賃貸部分の割合を算出しなければなりません。

例えば、床面積が200㎡で賃貸部分の面積が100㎡である場合、賃貸割合は50%となります。

 

また、借家権割合は全国一律で30%と設定されているため、変更はありません。

リフォーム

相続する建物がリフォームをしていた場合、下記の計算方法で建物の評価額を計算します。

(リフォームにかかった費用-死亡日までの償却費)×70%

死亡日までの償却率は、「リフォーム費用×90%×経過年数÷耐用年数」で計算できます。

経過年数はリフォーム完了してから相続が発生した年数を指し、耐用年数はリフォーム内容によって異なるため、国税庁の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で確認しましょう。

参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

 

【関連記事】不動産の名義変更にかかる費用や時間はこちら

まとめ

これまで不動産の相続にかかる税金と計算方法、評価方法を紹介してきました。

相続税は、人によって大きな金額になるため、事前にどれくらいかかるか計算しておいた方が良いでしょう。

本記事で紹介した計算方法で、概算の相続税がわかれば、相続が発生したとしても焦らず対処できるかもしれません。

しかし、複雑な計算方法ではあるため、より正確な金額を把握したい場合には、税理士などの専門家に相談しましょう。

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