相続手続
財産調査のやり方を財産別にわかりやすく解説|必要書類・かかる費用も
相続をするためにはまず被相続人(亡くなった方)の財産を調査しなければなりません。財産が確定しなければ、財産の分割や相続税の納税ができないからです。
しかし財産調査は査定をしたり、書類を用意したりするため、手続きになれていなければ難しいでしょう。そこで今回、財産調査の概要と手順、調査にかかる費用について解説します。
財産調査を行わなければならない方や、終活のため財産を整理したい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
財産調査とは
相続が発生した場合、「遺言書の有無の確認」「相続人の確定」「財産調査」の3つを優先的に行わなければ、相続手続きは進みません。財産調査では、何が財産であるか、財産の評価額、遺言書に記された財産が正しいかどうかなどを調査します。
プラス財産とマイナス財産の内容を調べる
財産にはプラスの財産とマイナスの財産があります。主に下記のような財産が該当します。
プラスの財産 | マイナスの財産 |
---|---|
現金・預貯金 不動産 株式・有価証券 生命保険 骨とう品・絵画 ゴルフ会員権 など |
借金 公租公課(固定資産税や所得税などの未払い金) 保証債務 など |
支払い義務があるものはマイナスの財産として扱われます。相続ではプラスの財産だけを継承することはできず、両方の財産を相続する必要があります。
ただし、もしマイナスの財産が大きければ、相続を放棄することもできます。
借金などを相続した場合、被相続人に代わって返済していかなければなりません。ただしマイナスの財産によっては相続税の納税額が減らせる可能性があるため、マイナスの財産額をきちんと把握する必要があります。
例えば5,000万円の財産を保有しているが2,000万円の借金がある場合、課税対象額は下記の通りです。
項目 | 借金がない場合 | 2,000万円の借金がある場合 |
---|---|---|
課税対象額 | 5,000万円 | 3,000万円 |
課税対象額が少なければ、相続税の金額を抑えられます。場合によっては非課税となることも多いです。そのためプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も必ず調べるようにしましょう。
不動産や株式を評価・査定してもらう
相続する財産の中で、「現金・預貯金」はそのままの金額が課税対象額です。つまり現金1億円を保有していた場合、1億円が課税対象です。
一方不動産や株式、自動車など、ほとんどの場合で購入時から価格が変動している財産は、相続時の価格を評価しなければなりません。
評価額を算出するには専門的な知識が求められるため、税理士や鑑定士などの専門家に査定してもらわなければわからないでしょう。
自身で計算しても良いですが、正しい金額でなければ相続税の計算も間違えてしまい、罰則が課せられることもあるため注意してください。
【関連記事】行政書士ができる相続手続きとは?弁護士・司法書士との違いを解説
財産調査する際に最低限必要な書類一覧
財産調査をする際はどのような書類が必要なのでしょうか。最低限必要な書類はこちらです。
- 被相続人が死亡した事実を証明する戸籍謄本
- 調査を依頼する方(相続人)の戸籍謄本と印鑑証明書、身分証明書
被相続人と調査をする方の関係性を証明できる書類が必要です。役所で取得できる書類がほとんどであるため、依頼する前に用意しておくとよいでしょう。
他の必要書類は調査対象の財産によって異なる
財産ごとに必要書類は異なるため、詳しくは表を参考にしてみてください。
項目 | 必要書類 | 問い合わせ先 |
---|---|---|
預貯金 | 被相続人の通帳 銀行印 |
金融機関 |
不動産 | 権利書 登記簿謄本 固定資産税納税通知書 |
税理士など |
株式・有価証券 | 株式・有価証券の証券証書 | 証券会社 |
生命保険 | 生命保険の証券証書 | 保険会社 |
骨とう品・絵画・時計 | 実物 | 鑑定士など |
ゴルフ会員権 | 会員証明書 | ゴルフ場 |
債務 | 借入返済予定表 返済予定表など |
金融機関 |
財産調査のやり方・手順
ここで財産調査のやり方と手順について解説します。
専門家へ依頼すると、代わりに手続きを行ったり、依頼人ごとに必要書類の一覧を作成したりするため、円滑に手続きを進められます。
預貯金
預貯金の財産調査はこちらのステップで行います。
- 被相続人の預金通帳やキャッシュカードを探す
- 見つかったら金融機関へ問い合わせる
- 必要書類をそろえ、金融機関へ開示請求をする
- 残高が判明する
近年ではキャッシュカードの代わりにスマートフォンで、現金を引き出せる金融機関も増えています。スマートフォンの中身からも預金口座がわかるかもしれません。
口座は1つだけでなく、複数の金融機関のキャッシュカードを保有している方も多いです。そのため各金融機関へ問い合わせすることを忘れないようにしましょう。
金融機関の口座を所有している方が亡くなったときから、口座は凍結して引き出せなくなります。出金できるのは相続手続きが完了した後となるため注意してください。
不動産
不動産の財産調査は下記のステップで行います。
- 権利証・登記識別情報・固定資産税納税通知書を探す
- 税理士へ相談する
不動産の財産調査では、どこにどんな財産を所有しているのかを確認しなければなりません。そのため権利証や登記識別情報が必要です。
しかし権利証の作成から時間が経っていると紛失している可能性もあります。不動産を所有している人に届く固定資産税納税通知書であれば、納税していることもわかるため、所有不動産を把握することが可能です。
また固定資産税納税通知書も見つからない場合、役所で固定資産税評価証明書を発行してもらうことができ、所有不動産を確認できます。不動産がわかれば、後は専門家へ一任しましょう。
株式・国債・FX
株式・国債・FXの財産調査は下記のステップで行います。
- 株式・国債・FXの場合に関する書類を探す
- パソコンでのトレード履歴や取引案内、開設口座や残高を確認する
- 各会社へ問い合わせる
株式・国債・FXの場合は開設した書類を探します。しかし口座開設したからといって必ず取引しているとは限らないため、パソコンなどで取引状況を確認しなければなりません。
しかしパスワードが分からない方は、直接各会社へ問い合わせしたほうが早いかもしれません。
借金・債務などマイナス財産
借金・債務などのマイナス財産は下記のステップで財産調査を行います。
- 返済予定表や金銭消費貸借契約書等を探す
- 貸金業者や金融機関へ問い合わせる
マイナスの財産の債権者は金融機関か消費者金融がほとんどです。書類を確認し、各会社へ問い合わせましょう。また、書類が見つからない場合は「信用情報機関」という個人の信用情報を扱う機関に問い合わせて、取引状況を開示請求することで確認できます。
信用情報機関は次の3つがあり、複数の借入れがある場合は全てに開示請求するほうがよいでしょう。
- 全国銀行個人信用情報センター
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
もちろん調査するには費用が発生します。おおよそ数千円程度ですが、各機関によって異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
財産調査にかかる費用
財産調査にかかる費用を紹介します。費用は依頼先ごとに異なるため、あくまで目安の価格です。
専門家に依頼する場合
専門家に依頼する費用の相場は表の通りです。
依頼する専門家 | 相場 |
---|---|
弁護士 | 10万円〜50万円程度 |
司法書士 | 10万円〜30万円程度 |
税理士 | 財産額のおよそ0.5%〜1.0% |
行政書士 | 10万円〜30万円程度 |
弁護士は法的トラブルの解決をメインに行っているところが多く、財産調査を受け付けていない事務所もあります。
司法書士であれば、一般的に財産調査も含めて相続関連の相談や手続きを受け付けていることが多いです。
税理士は財産額に応じて費用が決まります。相続税の計算も併せて行えます。
書類作成のみの場合は、行政書士へ依頼してもよいでしょう。
自分で調査する場合
自身で財産調査ができれば、専門家への依頼費用がかからないため、安ければ数千円程度で調査ができるかもしれません。当然、財産の数が多く、関連会社への問い合わせ先も多ければ、必要書類が増えるため、費用は増えます。
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まとめ:みつ葉グループなら財産調査もあっという間!経験豊富な専門家が多数在籍
今回は、財産調査の概要と手順、調査にかかる費用について解説してきました。財産調査は相続が発生した後、すぐに行わなければなりません。
調査が遅れてしまうと、相続税の申告や遺産分割に影響が出てしまいます。財産調査は自身で行っても問題ありませんが、時間や労力がかかるため専門家に依頼したほうが的確で早く完了できます。
あとで自身の知らない財産が見つかると、余計な手間がかかります。財産調査を行うときは、みつ葉グループにご相談ください。
無料でご相談できますので、お気軽にお問い合わせできます。
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