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相続関係説明図とは?書き方と作成するメリットをわかりやすく解説

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相続が発生した後は、法定相続人を確定させる必要があります。法定相続人は財産を相続するだけでなく、相続税の納税額を算出するためにも必ず明確にしなければいけません。

その際あると便利なのが「相続関係説明図」です。相続関係説明図があれば、相続手続きをスムーズに行うことができ、相続発生から10カ月以内に行わなければいけない申告と納税にも役立つことでしょう。

本記事で概要とメリット、手続きの流れを紹介します。これから相続を控えている人はぜひ参考にして、相続関係説明図の作成を行いましょう。

目次

相続関係説明図(家系図)とは

相続関係説明図とは、相続人調査の結果をまとめた表であり、家系図のようなものです。相続が発生した後は、被相続人の戸籍謄本から血族関係のある方を調査(相続人調査)します。

多くの方は家族が法定相続人と思われがちですが、被相続人に離婚歴があり、前妻との間に子どもがいる場合や隠し子などいることも稀にあり、その子どもたちも法定相続人に該当します。

そのため相続が発生した後は、被相続人の出生をさかのぼり調査する必要があります。調査した結果をまとめた書類が相続関係説明図となり、相続時の遺産分割協議や法務局への登記手続きなどに用いられます。

ただし相続関係説明図は自分たちで簡単に作成できる書類であり、法的効力があるわけではありません。あくまで相続手続きの補助書類です。作成したからといって法定相続人を証明できる書類というわけではないため注意しましょう。

【関連記事】相続税が払えない時の対処法4選|払えない場合の罰則も解説します

相続関係説明図を作成するメリット

相続関係説明図の作成は必須ではありません。任意であるため相続人が1人しかいない場合などわかりやすいケースでは作成しない方もいます。

しかし複数人の相続人がいる場合は作成した方が得られるメリットが大きいです。具体的にどのようなメリットがあるのか紹介します。

相続関係を明確化できる

自身が相続人であることは簡単にわかりますが、第三者は誰が相続人であるかわかりにくいのが実状です。しかし相続関係説明図があれば、他の方でも誰が法定相続人であるかすぐに判断することが可能となります。

特に法定相続人が複数人いる場合や養子縁組、隠し子などがいる場合は重宝され相続関係を明確にすることができます。他の方が見ても簡単にわかるようにすると相続手続きもスムーズに進めることにつながります。

戸籍謄本等のコピーの代わりになる

相続の手続きを行う際は、被相続人や相続人の戸籍謄本などを提出する必要があります。しかし、あらかじめ相続関係説明図を用意しておくと、原本を還付してもらえるメリットがあります。

相続の手続きには何枚も戸籍謄本が必要となるため、その都度取得していると手間と費用がかかります。

相続関係説明図と戸籍謄本等一式のコピーを一緒に提出することで原本を返却してもらえるため、何度も戸籍謄本を取得する必要が無くなるメリットがあります。

高い証明力を持つ(法定相続情報一覧図の場合)

相続関係説明図と似た書類として「法定相続情報一覧図」という書類があります。法定相続情報一覧図とは法務局で認証を受けた相続関係説明図のような書類です。

法定相続情報一覧図は戸籍謄本等一式の代わりにもなるため高い証明力を持ち合わせています。作成するには法務局のホームページにある「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」からダウンロードし、申出書の記入と登記所へ申出しなければいけません。詳しくは法務局へ確認してみましょう。

相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違いが分からない方は以下の表を参考にしてください。

相続関係説明図 法定相続情報一覧図
公的書類の効力 公的効果はない 法務省の法定相続情報証明制度によって公式に認証される
記載内容 自由に記載できる 記載内容が決められている
戸籍謄本関連 相続関連手続き時に提出すると戸籍謄本の原本還付を受けられる 戸籍謄本は必要なくなる
作成方法 インターネットでひな型を検索しダウンロードして記入 法務局のホームページでひな型をダウンロードして記入し申請する
作成費用 無料 無料(ただし司法書士へ委託した場合1万円~5万円程度の費用が発生)

法定相続情報一覧図は相続税の申告時の添付書類としても利用できます。さらに多くの金融機関が口座の凍結および名義変更の際に対応しています。

参考:https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html

相続関係説明図の書き方

相続関係説明図のメリットを紹介しましたが、実際どのように作成するのでしょうか。司法書士や弁護士などの士業へ依頼することも可能ですが、費用もかかるため自身で作成される方も多いです。

ここでは相続関係説明図の作成方法を紹介します。

書類をひな型等で用意する

相続関係説明図はインターネットで無料でダウンロードできます。エクセルタイプのものやワードタイプのものまでさまざまあります。

どのひな型でも問題ありませんので、記入しやすいものを選ぶようにしましょう。また自身で一から作成しても問題ありません。ただし第三者が見て分かりやすいようにしましょう。

名前と住所を記入する

ひな型の書類を用意できたら、被相続人と法定相続人の名前・住所を記載します。戸籍謄本と同じ内容で記載しましょう。

生年月日・死亡年月日・続柄を記入する

被相続人の生年月日と死亡年月日、被相続人と相続人の続柄を記入します。誰が配偶者で長男が誰であるのかなどを記入するようにしましょう。

親族関係にあわせて線でつなぐ

被相続人と相続人関係がどのような関係であるかを記入し線でつなぎます。誰が配偶者であるかは続柄で確認できますが、家系図のように線で結ぶとより分かりやすくなります。

相続・遺産分割・相続放棄を記入する

最後に相続人がどのような財産継承をするか記入します。具体的な記入方法は以下の通りです。

  • 相続・・・財産を相続する人の横に「相続」と記入
  • 遺産分割・・・遺産分割協議により不動産を取得しない場合、相続人の横に「遺産分割」または「分割」と記入
  • 相続放棄・・・相続権を放棄する人は名前の横に「相続放棄」と記入

相続放棄とは相続に関する権利をすべて放棄することをいいます。被相続人に債務がある場合、毎月の借入返済も相続人が引き継ぐことになります。相続人の中には返済を引き継ぎたくない方もいます。

その場合、相続が発生してから3カ月以内であれば相続放棄をすることも可能です。相続放棄することで債務を引き継ぐことがなければ財産を相続することもありません。

また遺産分割に関わることもなくなります。

相続関係説明図の提出先の例

相続関係説明図の概要と作成手順を紹介してきましたが、次に使用場面について解説します。相続関係説明図はさまざまな用途があるため、どのようなタイミングで必要であるか、あらかじめ理解しておきましょう。

不動産の名義変更

遺産分割協議によって不動産を相続することが確定した場合、不動産の名義変更である所有権移転を行わなければいけません。名義変更手続きを行わなければ、後に不動産を売却する場合や建物を新築・建て替えすることができなくなる可能性も高くなります。

また固定資産税や都市計画税などの都道府県税の支払い請求先も行政の方でわからなくなるため、必ず行うようにしましょう。名義変更を行う際は、遺産分割協議書と相続関係説明図、その他本人確認書類や印鑑証明書などの書類が必要です。

一般的に司法書士へ委託するのが通常ですが、司法書士も誰が相続人で被相続人との関係が分からないと手続きできません。しかし相続関係説明図があれば相続登記をスムーズに行うことが可能となります。

そのため司法書士へ委託する場合はぜひ準備しておきましょう。

預貯金の解約と払い戻し

金融機関での預貯金の解約や払い戻しを行う際は相続関係説明図を求められるケースもあります。また相続人の凍結口座の開設や株式の名義変更などを行う際も必要となる時もあります。金銭が関係する時は相続関係説明図があった方が良いと理解しておきましょう。

遺産分割調停申込

相続人同士の遺産分割協議がまとまらず、裁判(調停)になった際は相続関係説明図の提出が求められるケースもあります。裁判所でも被相続人と相続人の関係を把握しなければ判決するのも困難となります。

専門家への依頼

相続に関する手続きや相談を弁護士や司法書士に依頼する際も相続関係説明図が役に立ちます。依頼を受けた弁護士・司法書士は相続に関する事実確認をし、誰が法定相続人であるか把握する必要があります。

また相続に関するトラブルなどを相談する際も、相続関係説明図があれば相談が円滑に進むでしょう。

戸籍謄本等の原本還付

相続関係説明図は戸籍謄本の原本還付を受けることが可能です。

相続手続きには戸籍謄本がたくさん必要となるため、何度も役所に取りに行く手間と費用を抑えるためにも相続関係説明図が有効です。より費用を抑えたいという方は相続関係説明図を作成しましょう。

【関連記事】相続の寄与分とは?寄与分が認められる条件を解説!

まとめ:相続関係説明図が相続全体を円滑に

今回は相続関係説明図に焦点を当て、概要とメリット、利用するタイミングについて解説しました。相続関係説明図の作成は任意であるものの、相続手続きや遺産分割協議、不動産の名義変更などさまざまな場面で役立ちます。

さらに裁判所や司法書士、弁護士など第三者に相続人を伝えるためにも有効です。相続関係説明図は無料で作成できるため、これから相続を控えている人はぜひ作成してみましょう。

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