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相続コラム

成年後見

成年後見人の報酬はいくら?相場や申立てにかかる費用を紹介

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高齢者である65歳以上の5人に1人が認知症となると言われています。認知症となった方は自身の財産の管理が難しいとみなされます。

そのため本人に代わって財産を管理・運用する成年後見人を設定する必要があります。成年後見人は家族か裁判所で選定された弁護士や司法書士がなります。

もちろん弁護士や司法書士が成年後見人となった際は報酬が発生します。どれくらいの費用となるか分からない方も多いため、この記事では成年後見人の報酬額について紹介します。

また成年後見人について覚えておく3つのポイントも解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

目次

成年後見人とは

成年後見人とは高度な障害や認知症になった方の財産の管理や運用、身上監護(被後見人の生活、治療、介護などに関する法律行為を行うこと)をする人のことを指し、主に下記の業務を行います。

財産の管理 身上監護
・預貯金の入出金手続き代行
・有価証券の管理代行
・公共料金や税金の支払い代行
・不動産の管理
・相続人の手続き代行
・税務申告手続き
・病院の入院契約
・高齢者施設への入所契約

相続の場合、成年後見人となった方は、被後見人(認知症や高度障害者)に代わって財産の運用や、相続人の手続き代行を行います。また被後見人が病院などに入院する際に必要な契約なども行う必要があります。

認知症や高度障害者は程度にもよりますが、基本的に判断能力が乏しいと民法上判断されます。そのため契約書に署名捺印したとしても無効となることがほとんどです。

その結果、不動産を売却したくても売買契約書に署名できず、入院契約や高齢者施設の入所契約を結びたくても締結できません。

しかし成年後見人は被後見人に代わって手続きができるため、財産の管理と身上監護を一任することができます。

とはいえ、誰でも成年後見人になれるわけではなく、家庭裁判所で選任された方のみです。家族などが選ばれることもありますが、未成年者や破産者は該当しません。

一方、適切な管理を行うことができる弁護士や司法書士が選ばれることも多いです。

成年後見人にかかる費用っていくらくらい?

では成年後見人を選任する際は、どれくらいの費用が発生するのでしょうか。ここでは申立て時の費用と後見人の報酬額について紹介します。

申し立てにかかる費用

成年後見人の申立てをする際は下記の費用が発生します。

必要な印紙・書類など 費用
収入印紙 800円
登記手数料 2,600円の収入印紙
診断書発行費用 数千円程度(認知症や高度障害者などを証明するため)
申立人の住民票と戸籍謄本発行費用 1,000円程度
後見人未登記を証明する証明書発行費用 300円
予納郵券代(裁判所によって異なります) 後見申立て・・・3,270円分の郵便切手
保佐・補助申立て・・・4,210円の郵便切手

申立て時は上記の費用が必要です。さらに審理によって、認知症や高度障害者の判断能力を鑑定する場合、10万円程度の費用がかかります。

もちろん医療機関によって金額は異なるため、目安としておきましょう。なお鑑定は必要なしと判断されれば、費用は発生しません。

後見人の報酬にかかる費用

では士業に後見人を依頼した場合の報酬について紹介します。報酬は「基本報酬」と「付加報酬」の2つに分かれます。それぞれについて次の項で解説します。

・基本報酬

基本報酬という名前のとおり、月々の基本料金のようなものです。仮に被後見人財産管理や身上監護を行わない月であっても発生します。

裁判所では基本報酬を被後見人の財産額に応じて下記の価格を目安としています。

被後見人の財産額 基本報酬額
1,000万円以下 2万円程度
1,000万円~5,000万円以下 3万円~4万円程度
5,000万円以上 5万円~6万円程度

基本報酬は法定後見人の場合は発生しますが、任意後見人であれば不要となるケースも多いです。任意後見人とは本人があらかじめ選任した後見人のことを指します。

法定後見人は家庭裁判所で選任しますが、本人が認知症や高度障害者等になる前に、任意後見人を選んでおくことも可能です。

多くの場合、子どもなどの家族を選任する際に利用されます。そのため基本報酬が発生しないことがほとんどです。

・付加報酬

付加報酬は基本報酬額の50%以下の価格となります。成年後見人の業務範囲で下記のような困難な問題が生じた時は、基本報酬とは別で支払う必要があります。

  • 親権者同士で意見の対立があり、仲介役として調整した
  • 遺産分割や訴訟により、被後見人の財産が増えた
  • 所有者が多い不動産の売却をまとめて行った
  • 入所が困難であったものの、無事契約の手続きを行った

上記の他にもさまざまなケースが該当します。財産の管理や身上監護の保護で特別な手続きなどを行った際は別途付加報酬を支払うと認識しておきましょう。

【関連記事】成年後見人の登記事項証明書とは?見本や発行方法・有効期限を解説

成年後見人について覚えておくべきポイントとは

ここでは成年後見人について覚えておくべきポイントについて紹介します。

必ず候補者が選ばれるとは限らない

成年後見人は申立人の意思通りの候補者が選ばれるとは限りません。多くの方はご家族の方や知人に後見人になってほしいと思うでしょう。

しかし、被後見人と後見人候補者との今までの関係や財産の種類などから、総合的に家庭裁判所が判断します。そして後見人にふさわしい人物が選ばれます。

申立人が選任した候補者が他の家族から反対されている場合は、弁護士や司法書士などが選任されます。

第三者が選ばれると一定額の費用がかかる

弁護士や司法書士などの士業が後見人となった場合、毎月費用が発生します。基本報酬額だけでも最低2万円。年間にすると24万円にも及びます。

さらに10年20年と被後見人が生存した場合、数百万円単位の報酬額を支払わなければいけません。後見人は相当な理由がない限り、途中で変更することもできないため、亡くなるまで費用が発生すると認識しておきましょう。

家庭裁判所への報告や手続きの負担が大きい

成年後見人となった人は、定期的に財産の収支報告などを家庭裁判所へ提出しなければいけません。収支が大きくマイナスとなっている場合、適任者ではないと判断され、後見人の変更などが行われます。

もちろん財産の収支報告などを提出しなかった時も同様です。また日々の後見業務に関しても書類で提出しなければならず、専門的な用語や法律の知識が求められるため、一般的には難しい書類となっています。

さらに裁判所は平日しか受け付けていないため、普段お仕事されている方にとっては負担が大きいです。そのため後見人になる方は、ある程度時間に余裕があり、知見がある人が好ましいと言えるでしょう。

【関連記事】遺産相続で成年後見人が必要なケースは?選ぶ流れや費用、注意点を解説

まとめ:成年後見人を設定する前に必要な報酬を確認しておこう

今回は成年後見人の報酬額について紹介しました。成年後見人の申立ては1万円前後の費用で済みますが、弁護士や司法書士などが後見人となった場合、月々数万円の費用が発生します。

さらに年数が経てば、大きな費用となるでしょう。そのため多くの方は費用が発生しない家族の方に一任したいと考えます。しかし選任は家庭裁判所が行うため、申立人が選んだ候補者が後見人ならない可能性もあるでしょう。

成年後見人を申立てする際は、月々の費用を十分支払っていけるかを判断してから行うようにすることをおすすめします。

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