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タンス預金が相続税対策にならない理由と正しい手続きの手引き

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財産額が確定しなければ申告できず、延滞税や特例処置が使用できないなどのペナルティーが課せられます。そのため相続が発生した後は即座に財産調査を行います。

しかし被相続人の中にはタンス預金として金融機関の口座にお金を入金していない方が見受けられます。このタンス預金は相続の時にどのような扱いになるのでしょうか。

本記事ではタンス預金に着目し、相続税における取扱いや注意点を紹介します。これから相続を控えている方はぜひご参考にしてください。

目次

タンス預金とは?

タンス預金とは、タンスにしまい込んだ現金のことを指します。昔から日本の家庭では金融機関に現金を預けず、タンスに隠しておく「へそくり文化」がありました。

現代でも家庭の金庫や机の中などさまざまな場所へしまっており、それらの名称をタンス預金と呼んでいます。

タンス預金のメリット

近年では金融機関の口座に預けるのが主流ではありますが、タンス預金には下記のメリットが挙げられます。

  • いつでも使用できる
  • 金融機関が破綻しても影響しない
  • 相続発生時に口座が凍結されても困らないですむ
  • 家族に知られない

タンス預金はいつでも使用できる点が一番の特徴です。災害時に停電が発生した場合、金融機関のATMは使用できず、生活が困難になる可能性もあるでしょう。

その際タンス預金があれば買い物も可能となります。またタンス預金はへそくりにもなるため家族に隠しておき、自由に使えるお金としている方も多いです。

タンス預金のデメリット

一方タンス預金にも下記のデメリットが挙げられます。

  • 金融機関の金利がつかない
  • 盗難リスクがある
  • 災害時に紛失する可能性もある

タンス預金ではなく金融機関の口座にお金を預ければ、ごくわずかではありますが金利が付くためお金が増えます。

さらに空き巣に盗まれるリスクがあります。そして、自宅が火事になったり津波によって流されたりしてしまうとタンス預金は紛失する可能性が高いです。

【10分でわかる】タンス預金について解説した動画はこちら

こちらの動画ではタンス預金のリスクについて専門家がわかるやすく解説しているので、気になる方はぜひ一度確認してみてください。

タンス預金の相続税はいくら?

タンス預金は相続税の課税対象となるため、通常通り相続税を納税しなければいけません。相続税は基礎控除額以内であれば課税されません。基礎控除額は下記の計算方法で算出できます。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

つまりタンス預金を含めて遺産の合計額が上記の計算式以内であれば課税されることはないということです。

税務調査のタイミング

税務調査は相続税の申告書を提出してから1〜2年後の8月〜11月に行われるのが通常です。税務調査と聞くと不安に思う方もいらっしゃるかと思いますが、正しく相続税を納税していたとしても行われるケースもあります。

また税務調査は税務署から事前連絡があり、当日は質問に答える形式の任意調査が一般的です。 ただし、税理士へ相続税の申告を依頼していた場合、税理士へ連絡が行くような流れとなっています。

2年経っても税務署から連絡がない場合は、税務調査はないと判断しても良いでしょう。

タンス預金が相続税対策にならない理由

タンス預金は金融機関の口座にお金を入れていることではないため「相続税の課税対象とならないのでは」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに税務署の方でも分かりにくいのは事実です。

ただし、結論としてバレる可能性は高いです。詳しく次の項で解説します。

時効成立までの期間が長く隠し通せないから

相続税の申告・納税の時効は、「善意なら5年、悪意なら7年」とされています。そのため時効が過ぎればタンス預金がバレることはありません。しかし多くの方は時効が長いと感じたのではないでしょうか。

タンス預金があると知っていて相続税の課税対象とわかっていながらも納税しなかった場合、「悪意」に該当します。さらに無申告加算税や延滞税などさまざまなペナルティーが課せられ、罰則を支払うことにもなります。

7年もあれば税務署でも独自の資産管理システムから相続税が適切額であるか調べることも可能です。そのため結果としてバレる可能性が高いということです。

税務署の管理システムKSK

税務署は個人の資産をKSK(国税総合管理システム)で一元管理しています。誰がどれくらいの財産を保有しているか、収入はいくらかを全て把握しています。

そのため、相続税の納税をしたとしても適切であるか調査することは簡単です。また税務調査は質問がメインとなりますが、実地調査、反面調査(銀行や取引先への調査)も行われ、タンス預金がないかも調査対象です。

相続において税務署はタンス預金で相続税を免れようとしている実態をわかっているため、徹底的に調査されます。

家族・海外の口座まで対象となるから

タンス預金がバレたくないからという理由で相続人の子どもや孫名義の口座に入金したとしても税務署の調査対象となる可能性も高いです。税務署は過去10年間の預金通帳や入出金履歴を職権で確認することが可能です。

明らかに不自然な金額の入金があった際は徹底的に調査されるので、タンス預金もすぐにバレてしまいます。また海外口座へ送金したとしても税務署は調査可能です。

海外口座へ100万円以上送金する場合、「国外送金等調書」を金融機関は税務署へ提出するため脱税などはすぐに発覚するでしょう。

遺産相続のトラブルになるから

相続発生後にタンス預金が見つかった場合、相続人同士でトラブルになる可能性も高いです。タンス預金を見つけた相続人が他の相続人に伝えないまま相続税の申告と納税を行い、後に税務調査でタンス預金が明らかになった場合は、相続人全員にペナルティーが課せられます。

もちろん相続人同士でトラブルになることを防ぐのは難しいでしょう。金銭の問題だけでなく、今後の関係にも影響を及ぼしてしまい、結果争続となってしまう可能性も高いです。

タンス預金がバレた際のペナルティー

タンス預金分の相続税を免れようとしたものの、結果見つかった場合は下記のペナルティーが課せられます。

無申告加算税

期限までに相続税の申告と納税をしなかった方は下記の表の税率をかけた金額を納税しなければいけません。

申告条件 相続税額のうち50万円以下の部分 相続税額のうち50万円以上の部分
税務調査の事前調査前に事前申告した場合 5%
税務調査を受ける前に自主申告した場合 10% 15%
税務調査後に申告した場合 15% 20%
過去5年以内に相続税で無申告加算税または重加算税を重ねたことがあり、税務調査を受けて申告した場合 25% 30%

延滞税

相続税の申告と納税は相続発生後10カ月以内と定められており、1日でも過ぎたら下記の計算式で求められる延滞税を納税しなければいけません。

延滞税=(未納額×税率×延滞日数)/365日
税率 本則税率 令和4年度内
納期限の翌日から2ヶ月まで 14.6% 2.4%
納期限の翌日から2ヶ月以降 7.3% 8.7%

重加算税・刑事罰

意図的に財産を隠し悪質なごまかしなどであれば、重加算税が加算されます。

過少申告加算税・不納付加算税に代えて35% 無申告加算税に代えて40%

さらに明らかなる脱税の場合、刑事罰を受ける可能性もあります。1年以下から10年以下の懲役または罰金にもなるため注意が必要です。

タンス預金における相続税を抑える方法

これまでの内容を踏まえ、タンス預金などが見つかった際は相続税の申告を行うようにしましょう。相続税の申告は相続発生後から10カ月以内と定められています。

しかし相続が開始してからは相続人の確定や財政調査、遺産分割協議などさまざまな作業があるため、すぐに期限が近づいてしまいます。期限内に申告できず、延滞税などが課せられることにもつながるため注意しましょう。

そのため相続発生後は弁護士などの専門家へ依頼し、スムーズに手続きすることをおすすめします。税理士は相談税の申告だけでなく、納税額の計算、遺産分割協議の仲介人としても活躍してくれます。

円滑に相続を完了させるためにもプロに一任した方が良いでしょう。

まとめ:タンス預金の相続税申告も忘れずに

今回はタンス預金が相続税対策にならない理由について解説してきました。タンス預金は相続税の課税対象となり、隠していても税務署の調査によりバレることが多いです。

税務調査でタンス預金が発覚した場合は無申告加算税や延滞税などのペナルティーが課せられ、結果として本来納めるはずの相続税より高い金額を納税することにもなるでしょう。

そのため相続が発生した際はタンス預金も含め、専門家へ依頼し10カ月以内の納税に向けて手続きするようにしましょう。

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