相続税
相続税の納付書はどうやって取得する?書き方から納付方法まで解説
相続税は被相続人が亡くなってから10か月以内に「申告」と「納付」を行わなければいけません。
一見、日数が長く設定されていると思われがちですが、相続発生後は相続人の確定、財産調査、遺産分割協議書作成などたくさんの作業があるため、すぐに納付期限が来てしまいます。スムーズに相続税を納税するためにも納付方法を事前に覚えておいた方が良いでしょう。
今回は相続税の納付書の取得方法や書き方、納付方法を紹介します。申告期限が近付いてきた時に焦らないように、本記事で納付までの流れを理解しておきましょう。
目次
相続税の納付書をもらうには
相続税の納付書は以下の2か所でもらえます。
- 税務署窓口
- 金融機関窓口
納付書の取得場所はどこの税務署でも構いません。ただし、被相続人の住所地を管轄している税務署でもらえば、税務署名・税務署番号が印字されているため記入の手間が省けます。
納付書には税務署名が記載されているため、住所地と異なる税務署で納付書を取得する場合は、税務署が記載されていないものを取得しましょう。税務署はインターネットでの納付書ダウンロードや郵送での取得は行っておりません。
また金融機関の窓口でも納付書をもらうことが可能です。
納付書の書き方
相続税の納付書は主に下記の9項目を記載します。
- 年度
- 税目番号
- 本税
- 合計額
- 納期の区分
- 住所(所在地)
- 氏名
- 税目
それぞれの内容について解説します。
1.年度
相続の年度は4月1日から翌年3月31日までを1年と設定します。令和3年2月1日に相続税を納税する場合は、令和2年度となるため、「02」と記入します。
相続税の年度は相続発生年度ではなく、納税年度で記載します。間違えた年度を記載してしまうと、納税書の書き直しの可能性もあるため十分注意しましょう。
2.税目番号
税目とは納税する税金の種類を指し、相続の場合は「050」になります。相続税問わず、税金には全て番号が設定されているため間違えないようにしましょう。
3.税務署名・税務署番号
相続税の申告と納付を行う税務署名を記載します。どの税務署にも税務署番号が記載されているため、国税庁の「税務署の所在地などを知りたい方」で郵便番号を入力して税務署番号を調べて記載しましょう。
4.本税
本税には相続税額を記載します。相続税額は第2表相続税の総額の計算書に基づいた金額です。
5.合計額
本税と同じ金額を記載しますが、合計額の前には「\」をつけるようにしましょう。
6.納期等の区分
亡くなった日を記載します。令和3年2月1日であれば「030201」となります。なお、相続を知った日ではないため注意してください。
7.住所(所在地)
被相続人の生前時の住所を記載します。なお、住所は住民票に記載されている内容と同じにしましょう。
8.氏名
被相続人と相続人の氏名を記載します。フリガナはカタカナで記載しましょう。
9.税目
税目には「ソウゾク」もしくは「相続」と記載します。漢字でもカタカナでも問題ありません。
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相続税の納付方法
相続税の納付方法は主に3つあります。
- 現金納付
- 口座引き落とし
- クレジットカード支払い
相続税の納付方法は基本的には「現金納付」「クレジットカード支払い」が多いです。
ただし相続税の納税額が高額な場合、現金を持ち歩くのが不安、クレジットカードの利用上限額を超えるということもあるため、口座引き落としを使用している方も多いです。
それぞれの支払い方法の納付先を次の項で紹介します。
納付先
ここからは下記の4つの納付先を紹介します。
- 管轄の税務署窓口(納付書持参で現金持ち込み納付)
- 金融機関窓口(納付書持参で現金持ち込み納付)
- クレジットカード(納付書不要でクレジットカードから納付)
- コンビニエンスストア(バーコード付き納付書持参で現金持ち込み納付※30万円まで)
管轄の税務署窓口(納付書持参で現金持ち込み納付)
税務署で納付する場合は「納付書」と「現金」をもって窓口で支払います。税務署は相続税の申告を行った場所です。税務署で納付するメリットは手数料が不要な点があげられます。
他の納付方法には手数料が発生しますが、税務署だけはかかりません。相続税が高額となるケースもあるため、現金を持ち歩くときは注意しましょう。
金融機関窓口(納付書持参で現金持ち込み納付)
金融機関で納税するとなった場合は「現金支払い」または「口座引き落とし」で支払い可能です。相続税が高額の場合、現金を持ち歩くのは危険なため、金融機関の窓口で現金を出金してから納付する方も多いです。
金融機関の口座から高額出金する場合は、通帳またはキャッシュカード、通帳印などが必要です。なお、口座引き落としの場合は、納付書は必要ありません。
クレジットカード(納付書不要でクレジットカードから納付)
相続税はクレジットカードで納付することも可能です。ただし納付する際は以下の3つに注意しましょう
- 一括支払いしかできない
- クレジットカードの上限がある
- 決済手数料がかかる
相続税をクレジットカードで納付する場合は分割払いができません。さらにクレジットカードには上限額が設定されているケースが多いため、相続税が高額な場合は注意が必要です。
また、決済手数料は1万円ごとに76円(税別)で、例えば納税額が100万円の場合は7,600円かかります。
ただし近年のクレジットカードはポイント還元がついているものも多いです。一般的には1%以上が多く、手数料自体は無料となるケースもあります。詳しくはクレジットカード会社へ確認するようにしましょう。
なおクレジットカードで支払う場合は、「国税クレジットカードお支払いサイト」がおすすめです。e-Taxから情報共有ができるため、住所氏名の入力が不要で便利です。
コンビニエンスストア(バーコード付き納付書持参で現金持ち込み納付※30万円まで)
30万円未満の相続税であればコンビニエンスストアでも現金納税が可能です。納付する際はバーコード付きの納付書が必要となるため、事前に税務署へ発行してもらうようにしましょう。
また現金だけでなくセブンイレブンのnanakoであれば電子決済も可能です。
納付時の注意点
相続税を納付する時は以下の項目に注意しましょう。
- 納付期限の確認
- 代表者が一括納付しない
- 納付できない場合の対処方法を考慮しておく
- 納付は連帯責任
納付期限の確認
相続税の納付期限は相続開始日から10か月以内です。10月1日に相続開始した場合は、7月31日が納付期限となります。納付期限が過ぎた場合は、配偶者の納税額を大幅に圧縮できる配偶者控除が適用できなくなる場合もあります。
さらに延滞税などのペナルティも発生するため、必ず納税期限を確認しておきましょう。
代表者が一括納付しない
子供の相続税を母親が一括納付するケースもあります。その場合、贈与税の課税対象にもなる可能性があるため注意が必要です。
まとめて納税する場合は経緯を記録し、遺産分割協議書の作成時にも各々が相続する財産から納付金額を差し引いて納税することを記載することで贈与とみなされなくなります。
ただし専門的な知識が求められるため、税理士などの専門家へ相談しましょう。
納付できない場合の対処方法を考慮しておく
相続税額が高額で納税できない場合は、物納や延納という手段があります。物納とは代わりの物で相続税を納めることを指し、延納とは分割納税することです。
ただし、物納で不動産を納める場合は、市場価格より安くなるケースが多いです。そのため相続税が納税できないと判断できた場合は、遺産分割協議後に不動産会社へ相談し、売却手続きを行うようにすることをおすすめします。
納付は連帯責任
相続税の納付をしない方が居る場合、他の相続人には連帯納付義務があります。
自身が相続税を納付していても、他の相続人が相続税を納付しないまま一定期間を経過すると、最悪の場合連帯納付義務を負った相続人の財産を差押えされる可能性もあります。そのため他の相続人の納付状況を確認しておきましょう。
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まとめ:相続税の納付は計画的に
今回は相続税の納付に着目し、納付書の取得方法や書き方、納付方法を紹介してきました。相続税は期限内に納税しないとさまざまなデメリットがあります。
また、納付期限当日に納付書の内容を間違えてしまい、翌日納付となる可能性もあるでしょう。そのため事前に納付書の記載方法を理解しておく必要があります。
また相続税が高額な場合は現金での納付も危険なため、金融機関の窓口やクレジットカードで納付することをおすすめします。相続が発生し、納付額が分かった後はすぐに対処できるように納付方法を検討しておきましょう。
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