相続税
相続税に関する相談は税務署?無料相談先や目的別の窓口や手続き法を紹介
相続税の納税は人生で1度か2度ほどです。しかし、近年の相続税納税額の推移を見ると、一人当たりの納税額は1,700万円と高額です。また2015年に相続税の基礎控除額が改定され、納税者は2倍近く増えました。
相続税の納税額は高額なため、できれば相談費用なども抑えたいと思う方も多いのではないでしょうか。可能であれば無料で相談でき、相続税の申告と納税を行いたいところです。
そこで今回、相続税の無料相談先や税理士へ相談する際の費用などを紹介します。これから相続を控えている方は是非参考にしてください。
目次
【無料相談もできる】相続税の相談先は主に5つ
無料でできる相続税の相談先は5つ挙げられます。それぞれ相続に関する内容ごとによって相談先は異なるため、自身に合った相談先を利用しましょう。
①:相続税がかかるのか知りたいなら「役所」
役所では定期的に税理士が税務相談窓口へ出向してくれるため、相続税がかかるか調べてもらうことができます。ただし、相続税がかかるかどうかは実際に計算してみないとわかりません。
相続税は「どれくらいの財産で」「法定相続人が何人なのか」、「非課税財産や債務などはいくらあるのか」などさまざまな書類から計算します。
計算も数日から数週間ほどかかりますが無料で計算してくれるメリットがあります。さらに相続税が課せられることが分かった場合は、計算してくれた税理士へ相談することも可能です。
一方で役所の税務相談窓口を利用する場合は、ホームページなどで予約する必要があります。人数と時間に制限があるため、誰でも気軽に相談出来ないデメリットがあります。
②:申告書の確認なら「税務署」
相続税の申告書を確認する場合は税務署が一番早いです。税務署は税金を徴収する公的機関であるため、申告書に関しては細かくチェックしてくれます。間違えて相続税の申告をした場合は、後ほど修正申告する必要があるため、事前に税務署で確認してもらうようにしましょう。
③:金額の計算・節税の相談なら「税理士」
相続税の概算納税額を知りたい場合は税理士へ相談することが最も早いです。ただし無料で計算してくれる税理士もいれば、有料の税理士もあるため事前に確認してから相談することをおすすめします。
税理士は相続税の節税アドバイスなども行ってくれますが、相続に強い税理士とそうでない税理士も存在します。そのため税理士事務所のホームページを確認してから相談するようにしましょう。
④:相続でトラブルが発生しているなら「弁護士」
相続トラブルの解決は弁護士へ相談しましょう。相続で最もトラブルが多いのは相続人同士の財産争いです。財産は法定相続分や遺言書に合わせて分割するのが通常ですが、納得できない相続人も多く、裁判まで発展しているケースも多数見受けられます。
可能であれば相続が発生する前に弁護士へ相談し、対策方法などのアドバイスをもらうようにしましょう。
ただし、弁護士の多くは初回相談が無料ですが30分や1時間と時間が決められているケースが多いです。また2回目から有料と設定している弁護士が一般的であるため、初回面談時に相談する内容をまとめておきましょう。
⑤:相続登記の手続きを依頼したいなら「司法書士」
相続発生後に不動産などの名義を被相続人から相続人へ移転登記する場合は、法務局にて手続きを行います。しかし手続きは複雑で専門的な知識が求められるため、多くの方は司法書士へ委任しています。司法書士へ相続登記の手続きを依頼する場合は5万円〜10万円またはそれ以上の費用が発生しますが、相談段階では無料となります。
相談内容・料金の比較
相続は相談内容によって相談先が異なります。ここで無料相談と有料相談の料金のおおよその費用を紹介します。
相談先 | 無料 | 有料 |
---|---|---|
役所の税務相談窓口 | 相続税の簡易計算 | ― |
税務署 | 申告書の作成 | ― |
税理士 | 相続税の簡易計算 (税理士によっては有料) ・節税アドバイス |
・相続税の詳細計算5,000円~30,000円 ・相続税の申告(相続財産額の0.5~1%) |
弁護士 | 相続トラブルの初回相談 | ・着手金は経済的利益の2%~8% ・報酬金は経済的利益の4%~16% |
司法書士 | 登記に関する相談であれば無料 | ・登記は5万円~10万円程度 ・遺産分割協議の場合は数十万円~数百万になることもある |
無料相談に行く前の準備・持ち物について
相続に関する無料相談を行う場合、以下の3つの書類を用意しましょう。
親族関係図
法定相続人が何人であるかを調べるための親族関係図・家系図を用意しましょう。法定相続人の数は基礎控除額を算出するだけでなく、誰にどれくらい按分するかを調べるために必要です。誰が法定相続人になるかわからないかたは、被相続人の家系図を作成することで推定相続人がわかります。
財産の内訳
被相続人の財産がいくらあるか調べるために、財産の内訳書を用意しましょう。ただし、財産の内訳書は自身で作成する必要があります。
どのように作成すれば良いか分からない方は、以下の書類を用意して相談へ向かいましょう。
- 全ての預金通帳
- 不動産評価額が分かるもの(固定資産税納税通知書など)
- 株式証券
- 生命保険証券など
上記の書類があればおおよその財産内訳書の作成ができ、概算の相続税額を算出可能です。
借り入れに関する書類
相続税は借り入れなどの債務を課税遺産総額から差し引くことができ、納税額を圧縮できる効果があるため返済予定表などの残債がわかる書類を用意しましょう。返済予定表がない場合は借入している金融機関へ問い合わせすることで再発行してもらえます。
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相続税の申告を税理士に依頼する場合の料金相場について
これまで無料相談に関して紹介してきましたが、より相続に関する具体的な納税額や申告手続きを行う場合は、税理士へ委任するのが一般的です。しかし税理士へ依頼する場合は費用が発生するため、ここでは税理士の料金相場について解説します。
加算報酬型で支払う
加算報酬型とは、税理士へ依頼する基本料金をベースに、相続に関する作業内容に応じた費用を加算して支払う方法です。いわば通常業務に対し、オプションがあった場合は加算して支払うというイメージです。相続は手続きを開始した後に相続人が増えたり、あらたな財産が見つかったりなど、当初想定した内容と異なるケースもあります。その場合に基本料金の10%~15%を加算して報酬を決めるのが加算報酬型となります。
税理士報酬の目安
相続申告に関する税理士報酬は税理士によって異なりますが、以下の表の費用がおおよその相場となります。
相続財産の総額 | 税理士報酬の目安(0.5%〜1%) |
---|---|
5000万円 | 25〜50万円 |
1億円 | 50〜100万円 |
3億円 | 150〜300万円 |
5億円 | 250〜500万円 |
相続申告する財産の金額によって税理士報酬額も異なります。
ただし、一律料金に設定している税理士事務所もあります。
料金が異なる条件
相続申告は相続の条件によって料金が異なります。ここでは料金が異なる場合のケースを3つ紹介します。
相続人が複数人いる場合
相続人が一人増えることで税理士の手間と労力も増えるため、料金が加算されます。基本的には一人増える度に基本料金の10%~15%増額となります。
書面添付などを行う場合
相続税の申告時に書面添付することで、税務署の税務調査を行わずに納税することが可能となるケースもあります。税務調査は相続申告に関する書類の提出などを行う手間がありますが、書面添付をすることで、免れる可能性も高まります。
書類は税理士に作成してもらいますが、基本報酬の20%ほどの料金を追加費用と設定している税理士事務所が多いです。
申告の期限が近い場合
相続申告の期限が近い場合は、税理士へ急いで書類の作成と手続きを依頼することができます。しかし別途追加費用が発生します。
相続税の申告と納税は、相続が発生してから10か月以内と定められています。延長することは可能ですが、特例が使えなくなるなどのデメリットがあるため、期日内に申告と納税するのが望ましいです。
期日が近づいている場合の申告は、追加費用を支払うことで税理士へ急いで対応してもらうことも可能です。
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まとめ
今回は相続税の無料相談先や税理士へ相談する際の費用などを紹介してきました。
相続を控えている人は、無料で相談できる場所へいき、相続の概要を理解しておきましょう。相続税が課せられるか分からない方は、税理士などに計算してもらうことをおすすめします。
冒頭にもお伝えした通り納税者は増え、納税額は高額です。自身は該当しないと思わず、まずは税理士へ相談するようにしましょう。
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