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相続財産から葬儀費用を控除できる?!申告方法やよくある香典のトラブル

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葬儀を執り行った後は、相続税の納税義務者はすぐに相続税の申告と納税準備に取り掛からなければいけません。
遺言書の内容を確認し、相続人同士で遺産分割協議を行い、相続税を納税します。
しかし相続税の納税をする前に、相続税の計算をしなければいけません。相続税の計算では控除となる項目が多く、その中には葬儀費用も含まれます。
葬儀費用は全額控除となるわけではなく「控除対象となる費用」と「控除対象外の費用」に分かれるため注意が必要です。
そこで今回、葬儀費用について、相続財産から葬儀費用を控除できる内容を詳しく解説します。
これから相続を控えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

葬式費用と遺産相続とは

早速ですが、骨董品などの相続財産に入るのかどうか曖昧な財産について詳しく解説している動画記事があるので、気になる方はまずはこちらをご覧になってみてください。

相続税は、被相続人の遺産総額から基礎控除額を差し引き、その後法定相続人に按分され、個人に税金が課せられます。

おおまかな流れは以下の通りです。

  1. 遺産総額を計算する
  2. 基礎控除額を差し引く(3,000万円+600万円×法定相続人の数)
  3. 課税遺産総額を法定相続分に按分
  4. 税率を掛け控除額を差し引く
  5. 相続税の確定

しかし、被相続人の遺産の合計額を算出する際は、「葬儀費用」を差し引くことが可能です。

例えば、被相続人の遺産が5,000万円あると仮定します。被相続人の葬儀費用が200万円かかった場合は、4,800万円に対し基礎控除額を差し引くことが可能となります。

しかし葬儀費用の中でも「控除できるもの」と「控除できないもの」にわかれます。

内容を理解しないまま、相続税の申告をしてしまうと、税務署から修正依頼が来ることにもつながりかねません。

そのため、葬儀費用で控除できる項目と、控除対象外の項目は十分理解しておく必要があるでしょう。

相続税から控除できる葬儀費用の種類

 

はじめに、控除できる葬儀費用について紹介します。

項目は9つにわけることができます。

  1. 医師の死亡診断書費用
  2. 通夜・告別式にかかった費用
  3. 葬儀場までの交通費
  4. 葬儀に関する飲食代
  5. 遺体の運搬費用
  6. 火葬費用・埋葬費用
  7. お布施、読経料、戒名料
  8. 納骨費用
  9. そのほか通常葬式に伴う費用

1.医師の死亡診断書費用

火葬をするためには、医師から死亡診断書をもらう必要があります。

死亡診断書を取得する場合は費用が発生しますが、葬儀費用として計上することが可能です。

死亡診断書の費用はおおよそ下記の通りとなります。

項目 費用
死亡診断書 医師診断料 ・公的医療機関:3,000円~5,000円
・私立医療機関:20,000円~30,000円
・介護老人保険施設:5,000円~10,000円

2. 通夜、告別式にかかった費用

お通夜や告別式の費用は、葬式の中で最も高額になることでしょう。その費用は全て遺産合計額から控除することが可能です。

3. 葬儀場までの交通費

葬儀場まで公共交通機関やタクシーで向かった場合の費用も控除対象となります。

4. 葬儀に関する飲食代

通夜振舞いや精進落としといわれる、通夜などに身内や関係者が集まって食事をする費用は、すべて控除対象となります。

5. 遺体の運搬費用

病院などから遺体を自宅、もしくは葬儀場へ運搬してもらう際の費用も控除対象となります。

6. 火葬費用と埋葬費用

ご遺体の火葬費用と埋葬費用も控除対象です。

7. お布施、読経料、戒名料

葬式で僧侶に渡すお布施代金や、お経を読んでもらう読経料なども控除対象となります。

8. 納骨費用

故人をお墓に納める納骨の費用も控除対象となります。

9. そのほか通常葬式に伴う費用

上記の他に、運転手へお手伝い金として支払った費用や、葬式中にコンビニでお茶を購入した代金など、葬式に関する費用であれば、控除対象となります。

しかし、控除対象とならない費用もあるため、十分注意しなければいけません。

相続税で控除できない葬儀費用

 

次に、控除できない葬式費用について紹介します。

1. 香典返し

2. 仏壇や墓石の購入費用・墓地の借入料

3. 法事(初七日)に関する費用

 

1. 香典返し

お葬式の際は、参列頂いた方から香典を頂戴します。

その際香典返しを行いますが、その香典返しに関する費用は控除対象外です。

しかし、参列頂いた方へ香典返しではなくお礼を渡す場合は、控除対象となります。

2. 仏壇や墓石の購入費用・墓地の借入料

仏壇や墓石を購入した場合の費用は控除対象外です。

本来必要不可欠ではありますが、葬式には関連しないためです。

3. 法事(初七日)に関する費用

繰上げ初七日の費用は控除対象となります。ただし、葬式と同時に行うことが条件です。

遠隔地に住んでいる親族を集めるのが大変な場合は、初七日を葬式と同時に行う方も多くいらっしゃいます。

しかし、別日で行った場合は控除対象外です。

葬儀費用の申告方法

葬儀費用の申告方法は、相続税申告書に記載すれば問題ありません。

相続税の申告書は付表1から付表15まであり、葬儀費用は付表13に記載します。

付表13には、葬儀費用を支払った相手先や金額、負担した人の氏名を記載し、最後に領収書などを添付します。なお、領収書がない場合の費用は手書きのメモを添付してください。

葬儀費用を含める/含めない場合の相続税額を比較

では実際に葬儀費用を遺産から控除した場合、どれくらい相続税を圧縮できるのでしょうか。
ここでは一例を挙げて紹介します。

まず初めに、条件は下記の通りに設定します。

被相続人の遺産総額…7,000万円
法定相続人…配偶者(妻)、子供2人の計3人
葬儀費用…300万円(控除できる費用)

条件を踏まえて、「葬儀費用が控除

葬儀費用無し 葬儀費用有り
遺産の合計額 葬儀費用有り
葬儀費用 300万円
遺産総額 7,000万円 6,700万円
基礎控除額 4,800万円
課税遺産総額
(遺産総額から基礎控除を差し引く)
2,200万円 1,900万円
配偶者への税金 0円
子供一人あたり税金 55万円 47万5千円

配偶者は課税遺産総額の1/2の価額を相続しますが、1億6千万円までの遺産に関しては課税されない配偶者控除が適用できます。

そのため、上記の例では納税額は0円となります。

一方子供は2人の時は配偶者が1/2を相続するため、一人あたり課税遺産総額の1/4を取得します。

つまり子供一人当たりの課税遺産総額は
葬儀費用無し…2,200万円×1/4=550万円
葬儀費用有り…1,900万円×1/4=475万円

となります。

これらに税率を掛け、控除額を差し引きます。

税率と控除額は下記の表をご確認ください。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

引用:No.4155 相続税の税率|国税庁 (nta.go.jp)

葬儀費用無しの場合は「550万円×10%=55万円」
葬儀費用有りの場合は「475万円×10%=47万5千円」

となります。

上記の例では子供一人あたりの相続税は7万5千円安くなることがわかります。

葬儀代や香典のトラブルは非常に多い

葬儀費用の中で一番トラブルが多いのは、「葬儀費用の支払いをどうするか」です。

一般的には相続人の一人が立替え、他の相続人が後で支払うのが多いです。

しかし、他の相続人が支払ってくれないというケースも見受けられます。

また香典代は葬式費用に充当するのが一般的ですが、中には香典代金が欲しいという相続人もいらっしゃいます。

そのように相続人同士のトラブルが起きてしまうと、今後の関係にも影響を及ぼしてしまうでしょう。

そのため、近年では遺言書に葬式費用の内容を明記している方もいらっしゃいます。

領収書が無い場合はメモを取っておく

葬儀中は、喪主含め親族の方にとって悲しい状況ではありますが、後の相続税のために、葬式にかかった費用を把握しておくことが大切です。

領収書が発行されるものに関してはしっかり保管を行いましょう。

また、お布施代金などは領収書を発行してくれる寺院もあれば、発行しない寺院もあります。その場合は手書きでメモを残しておき、相続税の申告時に税務署へ提出すれば問題ありません。

その他にも領収書が発行されない費用もたくさんあるため下記の3項目はメモしておきましょう。

  • 支払い金額と支払い目的
  • 支払先
  • 支払った先の住所・連絡先

まとめ

これまで葬儀費用に着目し、相続財産から葬儀費用を差し引く流れや、「控除対象となるもの」「控除対象外となるもの」について紹介しました。

葬儀費用は遺産をたくさん所有している被相続人である場合は、微々たる控除額かもしれません。

しかし、葬儀費用をしっかり計算し、領収書などを保管していたことで、相続税が無税で済んだという事例もあります。

葬儀費用は相続税上大きな税金対策でもあります。

かならず、葬儀にかかった費用などは記録・保管しておきましょう。

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