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限定承認と相続放棄の違いとは?限定承認を詳しく解説!

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相続の方法は「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つがあります。
単純承認は、故人の財産をすべて引き継ぐという相続方法なので、皆さんもよくご存知の相続方法でしょう。
反対に、相続放棄は、すべての財産を相続しないという方法になります。
では、限定承認とはどのような相続方法なのでしょうか。
この記事では、限定承認とはどのような相続方法なのか、限定承認を検討した方がいいケースや限定承認の流れなどについてまとめています。

目次

限定承認と相続放棄の違い

相続放棄は、すべての財産を相続しない方法です。

プラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継がないため、故人に借金があった場合でも、その借金を代わりに返さなければならないということはありません。

単純承認してしまうと、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐため、借金も返していかなければなりません。

一方、限定承認は、故人のプラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産も相続する方法です。

限定承認

たとえば、相続発生時、自宅があり手放すことができないけれど、マイナス財産も自宅の価値以上に多くあるという場合は、相続放棄を行うとマイナス財産を一切負わない代わりに自宅も手放さないといけなくなりますが、限定承認の場合は、故人のプラス財産の範囲内でマイナス財産を負っていきますので、プラス財産以上に負債を抱える必要はなくなります。

また、プラス財産はあるがマイナス財産もどのくらいあるかわからない場合、限定承認をしておくことでプラス財産以上にマイナス財産を負わなくてもよくなります。

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メリット

限定承認のメリットは、相続するプラス財産の額を超える借金の返済義務は生じないという点です。

借金の金額が多い場合は、引き継ぐことができる財産はなくなってしまうかもしれませんが、負債を抱えることはありません。

借金を引き継がないという点はメリットでしょう。

それから、不動産を手元に残しやすくなるというメリットもあります。

故人にプラスとマイナスの財産があり、プラスの財産で不動産がある場合は、債権者によって不動産が清算され、借金の返済に充てられてしまう可能性があります。しかし、ご自宅などの場合は、不動産を手放したくないというケースもあるでしょう。

限定承認を選択する場合は、不動産の換価の際には競売にかける必要があります。

この際、相続人が優先的に取得するという先買権が認められているので、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価相当額を相続財産に支払うことにより、不動産の権利を取得することができますので、不動産を手放さないで済みます。

相続放棄をしてしまうと、後から見つかったプラス財産についても放棄ということになりますが、限定承認にすることで、後から見つかったプラスの財産も相続することが可能です。

デメリット

限定承認のデメリットは、手続きが複雑になってしまうということです。まず、プラスの財産とマイナスの財産の額をはっきり調べる必要があります。また、限定承認を行うためには相続人となっている全員が同意しなければいけません。相続人のうちひとりでも反対していれば、限定承認を選択することはできないのです。限定承認を選択した場合、税法上は被相続人から相続人へ財産を売却したとみなされるため、不動産や株式の財産に関して譲渡所得税の支払い義務が生じる可能性があるという点も注意しなければいけません。

相続放棄

相続放棄は、故人のプラスの財産もマイナスの財産も引き継がないというものです。マイナスの財産が明らかに多いことが分かっている場合、相続放棄をすることで、故人が抱えていた借金に関して代わりに返していかなければならないということはなくなります。

メリット

相続放棄のメリットは、借金を背負うことがないという点です。それ以外にも、相続問題に発展することがなくなるというようなことが挙げられます。遺産相続では、相続者同士のトラブルが起こることも多いです。こういった争いに巻き込まれたくないという場合に、相続を放棄することで、トラブルを回避される方もいらっしゃいます。

デメリット

相続放棄をしてしまうと、財産は一切相続できません。後からプラスの財産があることが発覚したとしても、相続放棄の取り消しはできないため、受け取ることができないという点はデメリットと言えるでしょう。

限定承認を行うことを検討したほうがいいケース

限定承認を検討しほうが良いケースについてまとめていきます。

プラスの財産とマイナスの財産が不明という場合

故人が持っているプラスの財産とマイナスの財産がはっきり把握できない場合、限定承認を検討したほうが良いと言えます。この場合、万が一マイナスの財産が多かったとしても、返済する責任を負うことはないので安心です。清算してプラスの財産が余れば、受け取ることができますし、マイナスの財産が無い場合は、すべて引き継ぐことができます。

残しておきたい財産がある場合

マイナスの財産がプラスの財産を超えているという場合、必ず相続放棄が良いのかというと、そうとも言えません。もし残しておきたい不動産や株式などの財産がある場合、限定承認をしておけば、残すことができます。

沢山の人を相続問題に巻き込みたくない場合

相続放棄してしまうと、民法で定められている相続の順位で、相続人が変わります。相続人が変わった際、借金も含まれていると何かとトラブルになることは多いです。そういったことを防ぎたいのであれば、限定承認にしておくと良いでしょう。

 

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限定承認の手続きの流れ

限定承認を行う場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。限定承認を行う流れについてまとめておきます。

期限は3ヶ月

限定承認を行う期限は相続が開始した日から3ヶ月以内です。相続人となっている全員で家庭裁判所に限定承認の申し立てをしなければいけません。被相続人の最後の居住地を管轄する裁判所が申述先となります。もし3ヶ月以内に決定できない何らかの理由がある場合には、期間延長の申立てをすることにより期間を延長できる可能性もあります。限定承認の申請には、限定承認の申述書、財産目録、被相続人の戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本といった書類が必要です。

公告手続と権利者への弁済

限定承認の申述書が受理された場合は、申述人にあてて通知書が出されます。相続人は5日以内に債権者に対して、請求の申出を官報の公告で出します。申出期間を2ヶ月以上で設定し、この期間が過ぎたら、相続人は届出があった債権者に対して、債権額の割合に応じて返済をします。すべての債務が弁済し終えて、相続財産が残っている際は、限定承認をした相続人が財産を受け取ることになります。

 

【事例】限定承認に関する事例

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限定承認の注意点

限定承認を行う場合、注意しなければならないことがあります。限定承認の注意事項についてまとめておきます。

限定承認は相続人全員で行わなければならない

限定承認を行う際は、相続人全員が納得していなければいけません。ひとりでも反対者がいると限定承認はできません。限定承認は、全相続人の共同作業で行う必要があるのです。ただし、相続人の中で相続放棄する人がいるという場合は、その人は含まずに限定承認を行えます。

手続き期間に注意する

限定承認の手続きは原則相続開始から3ヶ月以内に行う必要があります。これを過ぎると単純承認とみなされてしまうので注意しなければいけません。

相続財産について期間中に処分してはいけない

限定承認の手続きがすべて終わるまでは、財産を処分することができません。万が一少しでも処分してしまった場合、単純承認をしたとみなされてしまい、限定承認の手続きができなくなります。

 

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まとめ

限定承認と相続放棄について、それぞれのメリット・デメリットと限定承認の手続きの流れ、注意点などをお伝えしました。限定承認は、手続きが複雑なため面倒なことは避けたいと手続きを諦めてしまう人もいます。

しかし、マイナスの財産がある場合でも、引き継ぎたいものがあったり、プラスの財産を受け取れる可能性があるという場合は、行っておいたほうが良い場合もあります。分からないことは専門家に聞いて、手続きを進めていきましょう。

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