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相続コラム

相続放棄

相続放棄を勝手にされた場合の対処法。取り消すことができるケースと手続きを紹介

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「知らない間にほかの相続人によって勝手に相続放棄されていた!」
このような目に遭い、何とかならないかと不安に思っている方もいることでしょう。相続放棄は本来、本人の意思によって行われるものです。他人が勝手にできるものではありません。万が一勝手に相続放棄されてしまった場合は、取り消すことができる可能性があります。

本記事では、相続放棄手続きを勝手にされた場合に取消しができるケースや、実際の取消し手続きについてご紹介します。
ぜひ本記事を参考にして、ご自身の相続権を取り戻してください。

目次

相続放棄を勝手にされた場合は無効になる

相続放棄は本来、本人の意思によって行われるものです。
手続きも基本的には本人にしかできません。
そのため、万が一、偽造した文書に押印させられるなどして勝手に相続放棄をされた場合は、本人の意思が反映されていないとして、手続き自体は無効です。
他の相続人が勝手に全員分の相続放棄をしていた場合など、勝手に手続きを行った相手が特定できていれば、当事者での話し合いで解決できる可能性もありますが、話し合いがうまく進まないのであれば、専門家に相談した方が良いでしょう。

一方的な相続放棄の要求を受け入れる必要はない

先述したとおり、相続放棄をするかどうかは、相続権を持つ本人が決めることです。
そこに他人の意思が介入する余地はありません。
どんなに他人から相続放棄をするように要求されたとしても、自分自身で決めることができます。
たとえば、被相続人の子ども4人が相続人となり、兄弟のうちあなたを除く3人が相続放棄をする予定で、あなたも相続放棄をすることを勧められていたとしても、相続放棄をするかどうかの判断はあなた自身で行うことができます。

相続放棄をさせられても裁判所の受理前なら取り消すことができる

勝手に相続放棄の申述受理申立をされたとしても、裁判所が受理する前であれば取消しが可能です(家事事件手続法第82条)。
裁判所は、申立後すぐに相続放棄を受理するわけではありません。
相続放棄の手続きは、裁判所から「相続放棄受理通知書」という書類が届いて完了となりますが、それまでには1ヶ月程度かかります。
そのため、第三者に勝手に相続放棄をされてしまったとしても、相続放棄受理通知書が届いていない段階であれば、
取下書を提出することで相続放棄を取り消すことができます。
取下書には相続放棄を取り下げる旨さえ記載しておけば、きちんと受理されるはずです。
公式サイトにフォーマットを掲載している家庭裁判所もありますので、ダウンロードして作成するか、下記の取下書を参考に自身で作成してください。

【参考】取下書|さいたま家庭裁判所
【参考】家事事件手続き法|e-Gov 法令検索

相続放棄の取消しが認められるケース

前の章でお伝えした通り、相続放棄が受理される前であれば、比較的簡単に相続放棄を取り消すことができます。
一方で、相続放棄が裁判所に受理された後は、原則として撤回はできません。
しかし、下記に挙げるような場合には、取消しが認められる可能性があります。

  • 脅迫されて相続放棄した
  • 詐欺により相続放棄した
  • 大きな勘違いがあった
  • 成年被後見人本人が勝手に相続放棄した
  • 未成年が勝手に相続放棄をした

脅迫されて相続放棄をした

「ほかの相続人から「相続放棄を認めるまで帰らせない」と言われ、無理やり相続放棄の手続きをさせられたなど、脅されて相続放棄をせざるを得なかった、
強制的に相続放棄させられたようなケースも、民法第96条の規定に従って相続放棄を取り消せるすことができる可能性があります。

【参考】民法|e-Gov 法令検索

詐欺によって相続放棄した

他の相続人が、自分が多くの財産を相続したいからといって「被相続人には多額の借金があるから相続放棄をした方が良い」などと嘘をつき、それを信じてしまったなど、
騙されて相続放棄をした場合は、民法第96条の規定に従って取り消すことができる可能性があります。

【参考】民法|e-Gov 法令検索

大きな勘違いがあった

「被相続人は債務超過であると思っていたが、思わぬところから莫大な財産が見つかった」というような場合、大きな勘違いがあったとして相続放棄を取り消すことができる可能性があります。
ただし、取消しが認められるのは、本人に過失がない場合に限られます。
被相続人と同居しており遺産状況を調査しやすい環境にあったにもかかわらず、調査を怠ったせいで勘違いに気づけなかった場合などは、本人に過失があったとして、取消しは認められない可能性が高いでしょう。

【参考】民法|e-Gov 法令検索

成年被後見人が勝手に相続放棄したケース

成年後見人が付いている人(成年被後見人)は、成年後見人に確認することなく相続放棄をすることはできません。
万が一、成年被後見人が勝手に相続放棄を行った場合は、
成年後見人が相続放棄を取り消すことができます(民法第9条)。

【参考】民法|e-Gov 法令検索

未成年が独断で相続放棄したケース

未成年による単独での法律行為は認められていません。
未成年が法律行為を行うには、法定代理人の同意が必要です。
そのため、法定代理人による同意なく勝手に相続放棄を行った場合は、取消申述の申立てをすることで取り消せます(民法第5条の2)。
なお、未成年とは18歳以上の男女を指します。
2022年4月の民法改正により、成人年齢は20歳から18歳に引き下げられました。

【参考】民法|e-Gov 法令検索

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勝手にされた相続放棄を取り消す手順

相続放棄を勝手にされてしまった場合や、取消しをするのに正当な理由がある場合は、相続放棄の取消申述の申立てを行うことで、相続権を取り戻すことができます。
ここでは、取消申述の申立てに必要な書類や、裁判所に受理されるまでの流れについて書いています。
実際に手続きを行う際の参考にしてください。

1.必要書類を記入し家庭裁判所へ提出する

まず、相続放棄の申述を受理した家庭裁判所に必要書類を提出します。
一般的に相続放棄の取消申述に必要とされる書類は、以下のとおりです。

  • 相続放棄取消申述申立書
  • 申立人の戸籍謄本
  • 収入印紙800円(申立書に添付)
  • 返信用切手

申述申立書は、家庭裁判所に相続放棄を取り消したい旨を連絡することで、書式を送ってもらうことができます。
必要事項を記載して準備しましょう。
また、返信用切手については、各家庭裁判所によって内訳や金額が異なります。
併せて確認しておくとよいでしょう。

2.家庭裁判所による審理が行われる

申立書が受領されると、相続放棄の取消しを認めるかの審理が家庭裁判所にて行われます。申立後には、家庭裁判所から質問状が送られてくるケースがあるほか、
裁判所から呼び出され、裁判所で質疑応答が行われることもあるでしょう。
裁判所の審理の際には、申立書に記載された内容だけでなく、申立人から聞き取りをした内容も加味されます。
申立書の内容や質疑応答、聞き取りの内容などを踏まえた上で、相続放棄の取消可否が判断されます。

3.相続放棄取消受理書が届いたら完了

家庭裁判所が相続放棄の取消しを認めれば「相続放棄取消申述受理通知書」が裁判所から届きます。
この通知書の受領をもって、相続放棄の取消しの手続きは完了です。
万が一、受理通知書を紛失してしまった場合は、家庭裁判所に申立てをすることで証明書を発行してもらえます。
申請書は各家庭裁判所で交付してもらうか、書式を掲載している家庭裁判所の場合はダウンロードして利用しましょう。
申請の際には150円分の収入印紙の貼付と、送付用の切手の添付が必要です。

相続放棄の取消しは期限内に行う

相続放棄の取消しは、いつでもできるわけではありません。
以下の期限内に行う必要があります。

  • 追認できるときから6ヶ月以内
  • 相続放棄の申述が受理されたときから10年以内

追認とは、相続放棄の取消しにおいては、勝手に相続放棄されていたことに気づいたときや重大な錯誤があったことに気づいたとき、成年被後見人や未成年者が無断で相続放棄をしたことを知ったときなどが該当します。

これらの期間が経過すれば時効が成立するため、それ以降は相続放棄の取消しができません。
相続放棄の取消しをしたい場合は、できるだけ早めに手続きをするのが望ましいといえるでしょう。

まとめ

相続放棄は、相続権のある本人の意思によってしか行えません。
万が一、第三者によって勝手に手続きをされてしまったり、脅迫や詐欺などのために不本意ながら手続きをしてしまったりした場合は、取消しを求めることができます。
ただし、裁判所に相続放棄の取消しを認めてもらうことは簡単ではありません。
認めてもらえる可能性を少しでも高めるためにも、専門家に相談や依頼をすることが望ましいでしょう。
勝手に相続放棄をされてしまってお困りでしたら、一度当事務所までご相談ください。
司法書士法人みつ葉グループなら、司法書士に無料で相談することが可能です。
専門スタッフのサポートを受け、ご自身の相続権を取り戻しましょう。

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