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相続コラム

相続放棄

相続放棄すると親戚に迷惑がかかる?迷惑をかけない方法や注意点を解説

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相続放棄は、自分以外の家族や親戚にも影響が生じるため、慎重な判断が求められます。

とくに、一緒に住んでいるような近しい家族ではなく、離れて暮らす親戚に迷惑をかけるという懸念は、相続放棄を判断する上で大きな不安要素の1つです。

そこで本記事では、相続放棄が親戚に与える影響と、迷惑をかけずに進める方法や注意点について詳しく解説します。

相続放棄をおこなう上での疑問や不安をすべて解消し、親族に負担をかけることなく最適な選択ができるようになりましょう。

目次

黙って相続放棄すると親戚に迷惑がかかる可能性がある

相続放棄を検討する際、黙って手続きを進めると思わぬトラブルを引き起こします。
たとえば、あなたが亡くなった父の借金を理由に相続放棄したのであれば、急に相続権を得ることになった親戚が、借金返済という多大な不利益を被る恐れがあります。
親戚に無用な心配や負担をかけないためにも、以下の内容について正しく理解して、必要に応じて事前に連絡するなど、適切な対応を取らねばなりません。

親戚に相続権が移る場合|期限内に相続放棄などの対応が必要

相続放棄を行うと、家族構成や相続順位に基づき、ほかの親戚へ相続権が移ります。
配偶者は常に相続人となりますが、そのほかの相続人に対しては、民法で定められた相続順位に従って相続権が移っていくルールがあります。
たとえば、あなたの両親が亡くなった際は、第1位の相続人(あなたの兄弟姉妹)が全員相続放棄をすると、相続権は自動的に第2順位者(あなたの祖父母や曾祖父母)に移行します。
そして、第2順位の相続人が全員相続放棄した、もしくはすでに亡くなっているとなれば、第3順位者(あなたの叔父や叔母)へと相続権が移ります。
叔父や叔母と普段から連絡をとっていれば、あなたの両親が亡くなったことや相続権が移ったことを把握しているでしょうが、普段連絡をとる関係ではない場合、あなたから連絡をしないと事実を知らないまま相続権が移ってしまうのです。
相続放棄は相続開始から3ヶ月以内に手続きをする必要があるため、親戚に黙って相続放棄をした結果、親戚が借金を相続することになりかねませんのでご注意ください。
突如相続権を持つことになる親戚が、迅速に行動できるよう配慮するのであれば、事前連絡は必要不可欠です。

【参考】相続の放棄の申述|裁判所

親戚が負債の連帯保証人の場合|請求がいってしまう

連帯保証人になっていない相続人は、相続放棄によって借金の返済義務から逃れられます。
一方で、あなたの父親が亡くなったとし、親戚が父親の借金の連帯保証人になっているケースだと、あなたが相続放棄を選択することで、親戚に対して借金の請求がいく恐れがあります。
この場合、父親にプラスの財産もあり、あなたが相続したプラス財産で、借金を清算できるのであれば、連帯保証人である親戚に請求がいく心配はありません。
実際には相続財産を含む個々の状況にもよりますが、相続放棄をしない方が連帯保証人になっている親戚の負担を大幅に軽減できる可能性があります。
親戚が連帯保証人になっている場合は、相続財産や借金額の確認などをしたうえで、親戚とも相談して判断しましょう。

相続放棄で親戚に迷惑をかけない方法

では、相続放棄で親戚に迷惑をかけないために、どのような方法があるでしょうか。
具体的には、以下4つの方法を実践すれば、迷惑をかける心配はほとんどなくなります。

  1. 相続放棄の判断前に相続財産調査と相続人調査を丁寧に行う
  2. 連絡を取り合い相続人全員で相続放棄する
  3. 後順位者の相続放棄費用を負担する
  4. 相続放棄ではなく相続人全員での限定承認を選択する

1.相続放棄の判断前に相続財産調査と相続人調査を丁寧におこなう

相続放棄で親戚に迷惑をかけないためには、相続放棄すべきかどうかの判断を正しく行うことが大切です。
そのためには、相続財産調査と相続人調査を丁寧におこない、亡くなった方の財産状況を正確に把握しておく必要があります。
たとえば、調査によって借金よりも預貯金や不動産のほうが多いことが分かれば、借金を理由に相続放棄する必要はありません。

また、相続人調査を丁寧におこなったところ、自身と同順位に別の相続人(隠し子など)がいるとわかれば、相続放棄したからといって即時に親戚に迷惑がかかる心配はありません。
しかし、相続放棄には3ヶ月という期限があるため、あなた自身も調査にあまり時間をかけられない現実があります。
個人での調査が困難と感じた際は、調査そのものを専門家に依頼するのも良い方法の1つです。

2.連絡を取り合い相続人全員で相続放棄する

相続放棄の理由が借金なら、後順位の相続人にとっても相続をするメリットはほとんどありません。
それなら、あらかじめ連絡を取り合い、同順位の相続人だけではなく後順位の相続人も含め、一緒に相続放棄することで親戚への迷惑を回避できます。
相続放棄は相続順位ごとにまとめて手続きをおこなうことが可能です。
また、前述したとおり、相続放棄には3ヶ月という熟慮期間が定められており、事情次第で熟慮期間を延ばせるケースはあるものの、基本的には3ヶ月以内に手続きをおこなえるよう、親戚らと連絡を取り合うことを推奨します。

【参考】相続の放棄の申述|裁判所

3.後順位者の相続放棄費用を負担する

相続放棄の理由によっては、あなたが後順位者の相続放棄費用を負担することで、親戚に大きな迷惑をかけず手続きをおこなえます。
たとえば、父親の借金を理由に相続放棄をして、他者に負担をかけてしまうのが不安であれば、相続放棄の費用負担を申し出ることで親戚の負担を最小限に抑えられます。
司法書士や弁護士といった専門家に相続放棄を依頼するのであれば、次順位者と一緒に手続きをおこなうことで、費用を割引いてくれる事務所が多数存在しています。
親戚が専門家を探す手間も省け、効率よく手続きを進められるためおすすめです。

4.相続放棄ではなく相続人全員での限定承認を選択する

相続放棄を検討している理由が借金であれば、限定承認という選択肢もあります。
限定承認とは、プラス財産の範囲内でマイナス財産を引き継ぐという手続きです。
たとえば、プラス財産が100万円でマイナス財産が150万円の場合、差し引いたマイナス50万円を引き継ぐことはありません。
一方で、プラス財産が150万円でマイナス財産が100万円の場合、差し引いたプラス50万円を引き継ぐことが可能です。
どうしても借金を引き継ぎたくないものの、熟慮期間中に財産調査が終わらないといったケースでは、限定承認が良い場合もあります。

また、限定承認であれば下位順位である親戚に相続権が移ることはなく、第1順位の相続人が手続きをおこなうだけで相続は完了します。
ただし、限定承認は相続放棄と同じように3ヶ月以内に判断する必要があり、同順位の相続人全員の合意がなければ手続きをおこなえません。
自分以外に同順位の相続人がいる方は、足並みを揃えなければらない点がデメリットです。
そのほかにも、プラス財産とマイナス財産の清算手続きが必要など、限定承認は非常に煩雑な手続きとなりますので、専門家に依頼して行うことを検討しましょう。

親戚も相続放棄すると、保存義務で迷惑をかける可能性がある

親戚も全員相続放棄するのであれば、相続人は誰もいなくなります。
相続人が誰もいなくなってしまったら、相続財産は最終的にどうなるのでしょうか?
実はこのケースにおいても、親戚に迷惑かける可能性があるため注意が必要です。
以下にて、具体的な流れをご説明します。

相続放棄すると下位の相続順位の相続人に相続権が移る

先述したとおり、同順位の相続人が全員相続放棄すると、相続権は下位者に移ります。
具体的には、あなたが第1順位であるなら、第2順位であるあなたの祖父母・曾祖父母へと相続権が移り、祖父母・曾祖父母が相続放棄をした場合、もしくは既に亡くなっている場合は、第3順位であるあなたの叔父や叔母にへと相続権が移ります。
そして、第3順位者まで全員が相続放棄をすると、利害関係人(借金の債権者など)や検察官の申立てによって、裁判所から「相続財産清算人」が選任されますが、選任されるまでの間、法律上は最後に相続放棄した人が、財産の保存義務を請け負うことになります。
保存義務とは、その名の通り財産を保存する義務で、たとえば相続放棄した財産の中に誰も住んでいない家があった場合、最後に相続放棄をした人が家を適切な状態で保持する必要があります。
つまり、「相続財産清算人」が選任されるまでの間、相続放棄した財産の管理を親戚に任せることになってしまう可能性があり、全員が相続放棄したとしても、結果として親戚には保存義務という迷惑をかける可能性があることを覚えておきましょう。

【参考】:財産管理制度の見直し(相続の放棄をした者の義務)|法務省

相続する人がいなくなったら相続財産清算人が相続財産を整理する

相続財産清算人が選任され、財産の引き継ぎが完了すると、保存義務から解放されます。
相続財産清算人の業務は、相続財産の中から借金の支払いをしたり、不動産を含むすべての財産を現金化したりして、最終的にすべての財産を国などに引き継ぐことです。
その過程で、相続財産調査や相続人調査をおこない、ほかの相続人や特別縁故者(亡くなった方と生前深い縁がある方)、受遺者(遺言による贈与を受けた方)がいないかを確認します。
該当する方がいれば、必要に応じて財産の一部を引き継いでもらうなど、すべての相続財産に関する清算手続きをおこないます。
つまり、本当の意味で相続問題から解放されるのは、相続財産清算人に財産を引き継ぐまでです。
もしも相続放棄を検討しているのであれば、保存義務の件を考慮して、相続財産清算人の選任申立も同時に行うのが理想です(詳しくは後述します)。

親戚に迷惑をかけないためにも相続財産清算人を申し立てる

相続放棄をする際、保存義務で親戚に迷惑をかけたくない、負担を減らしたいのであれば、相続財産清算人の選任申立てを視野に入れましょう。
選任申立ては、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所でおこないます。
申立てができるのは、「利害関係人」もしくは「検察官」で、利害関係人には、亡くなった方の債権者や相続放棄した方などが含まれます。
あなたも相続放棄をしているなら利害関係人として相続財産清算人の選任申立てができますので、親戚に迷惑をかけないよう、親戚全員が相続放棄したタイミングで速やかに申立てを行いましょう。
【必要書類】

  • 申立書(裁判所窓口やホームページにひな形あり)
  • 亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
  • 亡くなった方の住民票除票、もしくは戸籍の附票
  • 相続人がいないことを確認できるだけのすべての戸籍謄本
  • 相続財産の証明資料(不動産登記事項証明書や預貯金通帳など)
  • 相続放棄申述受理証明書(相続放棄すると裁判所から発行される書類)

など
【費用】

  • 収入印紙:800円
  • 連絡用郵便切手:数千円(裁判所によって細かく指定されている場合あり)
  • 官報公告料:5075円
  • 予納金:数十万円(裁判所から指示がある場合のみ必要)

【参考】:相続財産清算人の選任|裁判所
【参考】:<相続財産清算人の選任>|東京家庭裁判所

まとめ

相続放棄をすると、相続財産の状況次第では親戚に迷惑をかける恐れがあります。
どうしても迷惑をかけたくないのであれば、あらかじめ相続放棄する旨を伝えておきましょう。
親戚も相続放棄をすることが考えられる状況であれば、相続財産清算人の選任申立ての準備をしておく、といった対応もしておきましょう。
しかし、相続放棄や相続財産清算人の選任は裁判所でおこなわなければならず、一般の方にとってはハードルが高いものです。
また、相続放棄には3ヶ月という熟慮期間も定められています。
個人で手続きするのが難しいと感じた方は、早急に専門家に相談しましょう。
司法書士法人みつ葉グループでは、相続放棄に関するご相談に無料で対応しています。
わからないこと、お困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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